Jリーグ Division2 2005シーズン

  トレーニングマッチ サガン鳥栖 0 - 0 水原三星

2005/2/2に行われたトレーニングマッチを雪の中、熊本まで見に行った。試合開始は多少遅れたものの無事に試合が行われてほっとした。試合内容自体は両チームの仕上がり自体がまだまだなので、見応えがあるものではなかった。この時期はチームとしても完成されていないのでなかなかチームとしての未来を垣間見ることは出来なかったが、その中でも今年の鳥栖の戦いで気になるであろう場面がいくつがでてきたのでその様子をレポートする。

◆攻撃的な"ボランチ&両サイド"の弊害

 

 

 

 

 

 

 

図は1本目のサガン鳥栖のメンバーである。入団して1〜2年目の選手で配置されている。目に付くのは両サイドが奈良崎、小井手、そしてボランチの1人が義希と比較的攻撃的な選手で配置されていることであろう。

立ち上がり上がり早々に水原に攻められるシーンが多くあった。しかしながら、水原のパスワークが別段早かったわけでも組織的に崩していったわけでもない。相手はアジアチャンピオンを狙おうかというチームであるので個人技による差は否めないにしても、必ずボールを預けるといったような選手も見あたらず、明確なポストプレイヤーがいたわけでもなかった。まあ、明確に気が荒くて乱闘シーンのほとんどにからんだ選手はいたが(笑)

さて、水原の攻めの時間帯を作り出したと言うことの結論から言うと、鳥栖自体の攻守切り替え時に問題があった。ボールホルダーに対するフォローアップが出来ておらず、ボランチ、もしくはトップ下のところでボールを奪われる局面が度々あった。それにも関わらずボールを奪取された際のケアができていないことが相手の攻撃を許すことになる。ボールを失う場面のほとんどが中盤の中央に配している三人(トップ下とボランチ)の連携に問題がありボール回しがスムーズに行かずに相手のプレッシャーに負けてしまっていたのだ。義希自体がボールをさばく選手ではなく、どちらかと言えばドリブルにより相手陣形を崩す攻撃的な選手である。その結果、ボランチの位置が高すぎて(もしくはサイドによりすぎて)中盤での守備がおろそかになり水原の攻めのきっかけを作り出してしまう。

下にボールを奪われた時の極端な例を示す。

黄色が相手の選手、その時点でのボールホルダーは義希であった。ピンクの点線が示すように相手のデイフェンスライン間近に5人の選手が並んでいる。この少し前、左サイドの小井手はフリーでパスを要求していたが、義希は中央から右方向へドリブルを開始する。相手FWとMFがすぐに一柳、奈良崎への選択肢を奪い、ボールは出せない。義希はボールを出そうにも出せずに長谷川、高林がボールを受けに行くのが遅れて相手選手の囲みにあい、ボールを奪われてしまう。図は奪われたときの位置関係である。

奪われた瞬間、ボランチの後ろに大きなスペースができていた。ここに相手選手が入ってきてすぐにボールを出されると井上が1対1の局面になってしまう。万が一抜かれてしまって矢野のカバーが間に合わなかったら大変なピンチを迎える。このシーンでは、井上が下がりながらもボールがサガン鳥栖のペナルティエリア前にいた敵FWに出された瞬間に出足のするどい守備で相手からボールを奪い事なきを得た。筆者は井上を非常に推しているのはこのあたりの危機察知能力である。相手選手を遅らせて味方が守備に戻る時間を稼ぐ方法もあっただろうが、ボールにプレスをかけて奪い返すという選択を選び、それを成功させたことが非常に頼もしく思えた。

◆攻撃的な両サイドとトップ下が生み出したチャンス

次は鳥栖が攻めに転じたときの図である。この頃には高林がバランスをとって中盤を落ち着かせていたので無駄なスペースを生み出して相手にそこをつかれるということは少なくなっていた。

この図は自陣でボールを奪い、早い攻撃に転じているときの図である。左サイドの小井手に展開し、小井手が前線に飛び出す2人めがけて早めにクロスをあげていったシーンだ。このとき、逆サイドの奈良崎もゴール前にあがろうとしていたため、3人いる相手DFがマークを失い連携できずに長谷川に2人ついてしまう。ここで長谷川が相手に競り勝ちジャストタイミングで下司に落とし、決定的チャンスを作り出した。浅い位置からアーリークロスをあげるときに2人がゴール前に競りにいけるというのは理想的なパターンである。逆サイドの奈良崎があがっているので跳ね返されたとしてもこぼれ球を拾えればすぐに右サイドに展開できるので2次攻撃が可能である。下司のシュートは決まらなかったが非常に惜しいチャンスであった。

◆低い位置のボランチの展開力

次は2本目で決定的なチャンスを得たときのシーンである。メンバーは1本目からは一柳以外はすべて変わっていた。このときの両ボランチである村主とビジュが好パフォーマンスを示していた。お互いにボールをチェックしにいってつぶすことができるタイプなので守備時において絶大な効力を発揮することになる。ビジュが攻撃参加に転じたときでも村主が後ろのカバーをしっかりとやっていた。バランスのよいダブルボランチである。

さて2本目に絶好のチャンスを得ることになる。図は大実がスルーパスから飛び出してフリーでシュートを放つシーンである。

村主がDFラインのところでボールを受け、相手プレッシャーを受ける。やや窮屈になりながらも左足で宮原へフィード。この時、白い○で囲んでいるように相手MFとDFが下がりすぎてスペースがあった。そこを見逃さなかった村主の視野の広さと宮原のポジショニングセンスが伺える。このボールを受けた宮原がダイレクトでスルーパス。タイミング良く飛び出した大実がキーパーと1対1になり決定的チャンスを迎えた。このチャンスも残念ながらキーパーにはじかれてコーナーキックとなってしまったが流れるような攻撃であった。

1本目のメンバーのときと違うのは、村主が自陣まで下がってボールをうけるちらし役をこなせたことと、宮原がボールをもらいに下がっていくプレイヤーであること。それによって両サイドやDFのうちの1枚があがるタイミングを作り出すことができた。それに加えて新居と大実が逐一相手DFの裏をとろうとする地道な動きが相手のDFラインを下げさせてこの決定的な場面を生み出す。このときも両サイドは比較的高い位置にいたがバランスの悪さは感じられなかった。

さて、開幕戦へ向けてであるが福岡の攻撃はサイド攻撃を軸としている。エジウソン(もしくは今年のキャンプでは好調らしい林)がボールを受けてからサイドに展開されたときに鳥栖の両サイドの選手がどのようにして守るのかということが気になる。守備的に山道、村主をサイドに配するのも手ではあると思うが、監督の手腕に期待したい。