Jリーグ Division2 2005シーズン

  トレーニングマッチ サガン鳥栖 1 - 2 蔚山現代

2005/2/17に行われたトレーニングマッチを見に一路別府へと向かった。昨日の夜に実相寺サッカー場で開催されるという情報のままに向かって到着したが誰もいない…。12:30に到着したため、早めにつきすぎたと思ってじっと待っていても選手が来る気配がない。おまけにサッカー場は芝生養生中のロープが貼られていて立入禁止。あまりにも心配になったため、公園管理人室に行ったら管理人と初老の方がもめていた。

初老「ここで練習試合があるって聞いたばってんが!」

管理人「そげんなんことは聞いとらん!今日は何の予定も入っとらん!」

初老「ばってんがサガン鳥栖の事務所はここであるっち言いよったぞ!」

管理人「この予定表ば見てんか?何もはいっとらんめーが!」

そんなやりとりが続くなか、筆者が間に入って仕事で生かした持ち前の平身低頭っぷりでお伺いを立てると管理人さんが市の方に聞いてくれた。練習試合は野口原陸上競技場というところに変更になったみたいだ。急いで移動。到着すると先に着いていたこちらの管理人さんを含め4人で観戦する。

◆ターニングポイント

試合は、やはり前半始まってすぐは蔚山が主導権を握る。鳥栖は両サイドが引きすぎて中盤を作れず、トップに当てるボールも質が悪くて攻撃の組み立てができない。宮原も下がり気味で時には3ボランチのような陣形になっていた。試合開始当初の様子もふまえて今日のスターティングメンバーを図で紹介する。

押し込まれていた時間帯が多かったために図のように両サイドとトップ下が守備に追われ下がっていた。よってMFとFWの間にスペースがあき、セカンドボールをことごとく相手に奪われてなかなか攻撃に転じることができなかった。前線にボールを送っても前線が粘れず(特に鈴木)、もしくはボールの質が悪かったりしてFW陣がキープできない。前半始まって5分くらいで蔚山は前回観戦した水原よりも強いなというのを感じた。それを確信したのは水原の選手は鳥栖の選手のチャージですぐ倒れていたが、蔚山の選手はびくともしなかった。ただそれだけなのだが(笑)それにしても前半の最初は非常に我慢の時間帯だったと思える。

しかし、前半15分くらいだっただろうか。ファールで相手選手が痛んでボールが止まっている間、監督の一言でこのバランスの悪さが修正される。監督の一言とは…

監督「相手の両サイドがあがりすぎてるから通らなくてもその裏にボールを出すんだ!」
監督「ボールだけじゃなくて人もつかまえろ!人をつかまえておくんだ!!」

この一言でクリアボールが相手のサイドの選手の裏にあつまり、相手のサイドがやや下がり気味になるとマークが適切に効いて鳥栖のバランスがよみがえった。両サイドの選手が少しずつ前へと出ることができ、宮原も中盤でボールを扱うことができるようになる。この後の守備は前半終了まで非常に組織的であった。鳥栖の前線の選手が蔚山のボランチやDFにプレッシャーをあたえる。相手は窮屈な形でFWにあてるくさびのボールをだす。ボールがでるタイミングとでる場所が読めるから山道と一柳が相手FWの前でボールを奪う。山道のボール奪取は何度あっただろうか?非常に効果的な形で相手ボールを奪う形が多くできた。これが後々のチャンス、そして先制点を生み出す。

◆ディフェンスからのフィードより生まれたチャンス

見出しの通り、この試合はディフェンスからのフィードによるチャンスが多かった。そのいくつかを紹介する。

上の図は前半初めて訪れたチャンスである。山道が相手のゴールへ向けてロングボール。ボールが出る瞬間に氏原が右サイドへ開いて空けたスペースに宮原も飛び込む。宮原がうまくせりかって左サイドの鈴木に落して鈴木がシュート。ボールはおしくもサイドネットへ。シュートまでのスピードも早く手数をかけない良い攻めだった。

続いては相手のコーナーキックからだっただろうか?ボールを跳ね返して相手がセカンドボールを拾う。そこに鳥栖の選手がつめてごちゃごちゃなりながらもボールを奪い、前線へと駆け上がる選手たち。そして落合がボールを右サイドへの奈良崎へと大きく展開。奈良崎はゴール前にいた4人の選手めがけてクロスボール。このクロスの精度がよかったら確実に1点ものだった。驚いたのは義希もサイドからしぼってゴール前につめていたことだった。

最後の紹介となるのはこの試合で筆者が一番いい形だと思った攻撃である。前述の通り、守備の組織が整って相手のボールをいい形で奪っている時間帯での展開だ。山道が相手のロングボールを鋭くカット。そのままドリブルで左サイドをあがって義希へ浮き球気味でパスをだす。義希はそのボールをドリブルで運んでクロスボール。おしくも点にはならなかったが、この攻撃もボールを奪ってから人数、そして時間をかけていない。相手の守備陣形が整う前にクロス、もしくはシュートまでもちこめる形が多くスピーディさを感じた。あとはクロスボールの精度なのだが…。

点がはいったのも同じ様な守備組織で山道がボールを奪い、左サイドをあがっていったところを相手からのチャージでファールをもらい宮原のフリーキックからビジュが決めたという形である。出足鋭いカットはやはりいい攻撃を生む。その他にもディフェンスラインから右サイドに開いたビジュへボールがでて、マイナス気味のクロスをビジュとポジションチェンジして中央にいた奈良崎がダイビングヘッド。そのこぼれだまを鈴木がシュートという惜しい場面もあった。

総じて言えるのは攻撃へ転じたときに前線へあがるスピードが去年に比べて鋭い。水原戦でも小井手からのアーリークロスからチャンスを作った場面もあったが、運動量が去年に比べて格段に多く、攻めるときに人数をかけることができる事がチャンスを多く生んでいる要因ではないかと思う。

しかしながらまだフリーランニングでスペースを作るというような攻撃の形はなかなか見えない。相手守備の組織力も高く、ボランチが効果的に攻撃に絡めないために中盤をパスでつないでからの攻撃というのができなかった。今後はFWがスペースを作ってサイドやボランチが空いたスペースへ飛び込み、そこへスルーパスという展開を望みたいところだ。ちなみに今日はそのパターンは一度もなかった。(蔚山側は何度かあったが)

◆ディフェンスの修正点

さて、続いては守備面で悪かったところを上げていく。基本的にはこの試合はボランチが消えていた時間が多かったと思う。たまにビジュがボールを奪う場面や飯尾が体を張ってカウンターを止めるカットなんかがあったが押し込まれている場面では下がりすぎて二人とも前目でボールをチェックに行くことがなかなかできなかった。その結果、最初の図のようにMFとFWの間にスペースができすぎてボールを奪っても攻撃に絡んでボールをつなげないことにつながる。

このピンチは鳥栖が攻めていたのだが、相手のカウンターを受けた場面だ。ボールを持っていた相手のMFのドリブルに対して誰がつくのかの受け渡しが出来ておらず、あっという間にペナルティエリアに進入されてシュートをうたれた。ポストにはじかれて事なきを得たのだが確実に1点ものだった。このときに二人がポジションチェンジを行ったのかどうか分からないが義希がボランチの位置にいて飯尾は消えていた。左サイドに鳥栖の選手が誰もいなかったため、山道があがってくるサイドの選手を見ながらボールも見るような状況になり、ボールは落合にまかせたいような感じだったが落合はあがってくるFWを見たかったのだろう。ボールを持っている選手に誰も明確につく人間がいなかった。もちろん、相手選手のドリブルも早かったのだが、技術的に抜かれたというよりは、いつの間にかするすると抜かれたという感じだった。

次にあげるピンチは後半に見られた内容だ。後半は相手選手がレギュラークラスと思われる選手が多く、ボールのキープが格段にうまかった。相手の10番は技術も高く、フィジカルも強くてドリブルでかわされてからスルーパスをよくだされていた。鳥栖のディフェンスは監督の指示からか、前半とは違って両サイドが意図的に下がり気味になり落合もラインに参加して5バックのようなラインを形成していた。中央からディフェンスラインの間をぬってだされたパスにサイドの選手が飛びこんでボールを受けられてしまうという場面が見られた。筆者的には5バックはちょっと厳しいような気がした。

その他には水原戦と同じく、義希や奈良崎がサイドで囲まれてボールを奪われる場面が多かった。相手に追い込まれてしまったよな形で周りのフォローが足りないというのもあったが、相手に当てて外にだすなり何か簡単に相手に渡さない形を目指して欲しかった。

もうひとつはディフェンスラインで落合がボールを奪われた場面だ。他のサイト様の掲示板でもたびたび書き込んだりしていたが筆者は落合はボランチがよいと思っている。視野の広さとボールのキープ力、そして展開力はあるが逆に落ち着きすぎてボールを持ちすぎること、そしてたまに起きてしまうプレーが軽い場面(最終的に体を張れない面)がディフェンス向きではないように感じる。この場面では相手がペナルティエリア内からボールを戻したところで奈良崎がボールを奪うファインプレーでピンチを防いだ。

さきほども言ったが、後半は相手がレギュラークラスがでてきたために個人技で翻弄される場面が前半よりも多かった。鳥栖が攻撃に移ってもリベロの位置に入ったユサンチョルが確実に鳥栖の攻撃の目をつぶしていた。パスワークもワンタッチで早めにまわされると前半のような組織的な守備とインターセプトがなかなかできない。相手のチャンスも多く生まれたがそこで最後に体を張ったのが一柳であった。シュートコースへ飛び込みブロックしたり、最後に体を投げ出してボールを外にだしたりと球際の一歩が光るプレーを頼もしく思えた。鳥栖の選手にはこのように崩されたときに最後まで粘りこむプレーを期待したい。

蔚山に奪われた2点はユサンチョルのフリーキック(さすがと思えるキック)とコーナーキックからの点数であった。崩された場面は何度もあったものの流れのなかでの点数は一応与えなかった…ということで評価したい。

さて、試合とは関係ないが今日は大乱闘が起きてしまった。審判が惨かったというものあるし、お互いにラフプレーが多かったというのもある。特に飯尾はバックチャージを幾度となく受けて散々たる状況であった。それにしても今回の乱闘はいままでにサッカーでは見たことのないプロ野球並の乱闘でみのもんたにナレーションをつけてもらいたいくらいのもめっぷりであった。その乱闘がおさまりかけて、両チームの選手がキレてお互いにひきあげようとしたその瞬間、蔚山側のベンチ近くにいて、引き上げてくる蔚山の選手ひとりひとりと握手してなだめている選手がいた。その選手は落合であった。さすがに手を出されて拒む選手は蔚山側にはいなかった。言葉はしゃべれないだろうが一番キレていた相手のブラジル人選手までもが落合になだめられていた。

その後、相手の監督もキレていて試合中止を宣言した模様だが、蔚山側の盧廷潤が松本監督との間に通訳で入ってなんとか試合を続けることになった。しかしながら筆者はこの試合を続けることができた影のMVPは絶対に落合だと思う。あれでいくらか蔚山側の選手も落ち着いたに違いない。あの握手っぷりは選挙直前の国会議員を彷彿とさせる笑顔&握手であった。

そういえば、あーやって相手の人間をなだめている場面は今日も見たような気がしたが………あ、思い出した。試合前に公園の管理人に対して平身低頭だった筆者そっくりではないか(笑)

これからはサガン鳥栖の和み系&癒し系の落合を心の底から応援したいと思う。