Jリーグ Division2 2005シーズン

  トレーニングマッチ アビスパ福岡 5 - 0 ロッソ熊本

2005/02/26

寒風吹きすさむなか、ロッソに移籍した朝比奈の勇姿を見にアビスパの仕上がりを確認しに島原まででかけた。

ラジオではスタジオがある福岡市は雪が降っていると言っていたが、晴れ男である筆者の前には雪も吹き飛び(?)島原は寒いながらも快晴の中試合が行われた。

◆サテライト雑感

サテライトの試合ではシステム云々はあまり気にせずに純粋に国見とアビスパ福岡の試合を弁当片手に楽しんだ。

個人的に動きが目立って見えたのはまず釘崎。裏に抜けるスピードと、ボールを受けたときに攻撃の勢いを殺さないワンタッチによるさばきが非常によかったと思う。初めて見る選手だが、この日に限ってはボールが足につかない福嶋よりも圧倒的にいいFWだと思った。

次に目立ったのは木藤。前半はボランチで無難な動きに終始していたが、後半は左サイドバックとしてドリブル突破からのセンタリングが顕著に目立ち、全選手の中で一番ボールを扱うことが多かったのではないかというくらいに攻撃、守備に奔走していた。

最後に大塚。アシストあり、ドリブル突破あり、高校生相手ではゴール前のキープ力まで見せつけてレベルの違いを見せていた。あの動きをJリーグとの試合でみせることができたならば間違いなくレギュラー候補なのだろうが。

国見で目立ったのは7番の選手。サイドからスルーパスあり、ドリブル突破あり、ワンツーありと国見攻撃陣の中では一番目立っていたと思う。スピードもあったし将来的にも良い選手になるのではないか。

◆有光徹底解析

さて、ロッソ熊本とのトップの試合である。鳥栖の守備としては、浦和戦で有光の動けるスペースを消したらよいということを確認していたが、この日は相手が格下のDFということもあってか浦和戦以上にすばらしい飛び出しからの得点をみせていた。

左の図は福岡の先制点ともなった有光の1点目。右の図は有光の2点目である。FWの位置とDFラインの位置は多少のずれはあるかもしれないが両図共にあえて同じにしている。それほどサイドが違うだけで同じ様な形の得点であった。

まずは1点目であるが、ロッソが押し上げようとしたところを中盤でカット。そのまま左サイドにはっていた宮崎にボールが渡る。宮崎は有光が動き出すのを見計らってキーパーとDFラインの間にボールを出す。有光の飛び出すスピードにはDFラインの誰一人としてついていくことができなかった。(我らが朝比奈先生も(笑))

2点目もサイドが違っただけでほぼ同じ様な得点であった。やや中央によったところでボールを受けたアレックスが右サイドの中村北斗にボールを送る。これもまた有光の飛び出しを狙った北斗がスルーパスを送り、同じ様な形でボールを受けた有光がゴール。これもまたロッソDF陣はいとも簡単に破られたのであった(再び我らが朝比奈先生も(笑))

有光は得点をとる動きだけではない。今日の有光はポストプレーも冴え渡っていた。こういうポストもできて、飛び出せば得点をとるというような動きを見せられるとかってアビスパ福岡に在籍していたモントージャの動きを思い出させてしまう。多少誉めすぎかもしれないがそれくらい今日の有光は光っていた。

さて、今日の有光がよかった点はボールをうけるときのウェーブの動きにつきる。

浦和戦の時に書いたように、ボランチやDFラインがボールを持っているときにはアビスパの前線は上の図のように4人がほぼDFライン上で並んでいる。ここからボランチがドリブルで上がって行ったときや、センターバックからサイドバックにボールが入ったときに攻撃のスイッチが入りFWとMFがボールを引き出す動きを始める。岡山から千代反田を飛ばして川島にボールが渡ったときや千代反田から岡山を飛ばしてアレックスにボールが入った時に攻撃のスピードがあがったのを感じた。全体的にロッソはアビスパ福岡のサイドチェンジに着いていけないような印象を受けた。

例えば右サイドバックにボールが入ったとすると、右サイドのMFが下がってボールを受けに行く。前線は全体的にボールよりになる。そこで有光がボールを受けに下がる。ところがDFは有光についていけない。ウェーブの動きで飛び出す動きを見せたり引く動きを見せたりする有光に翻弄されていた。もちろん、引くときのみ反応して有光についていくことも可能だろうが、もしもそこで反転されて飛び出されたときにDFラインの裏にボールを出されると有光のスピードについていけない。それが怖くて福岡のDFやMFから引く動きをみせた有光にボールがでる瞬間に一歩遅れてしまう。有光はそのDFの一歩分だけ余裕を持ってボールをうけることができる。その一歩の遅れが大きな一瞬となって前を向く事ができたり、スムーズにボールを受けてポストプレーができる間を生み出すのだ。

ところが、林にはそのスピードがない。ボールを受ける動きで引いたときに反転して飛びだされても林のスピードならばDF陣は十分に対応できる。スピードがないから相手DFによせられてしまう。一昨年の林ならばDFによせられてもその圧倒的な体格を利用してボールをキープしてポストプレーを行うことができたが、昨年からの林は体格を利用できずにボールを奪われてしまう。今日はこのあたりが有光との違いであるのを感じた。

後半に有光が太田に替わってからの時間帯はボールを受ける選手も裏に抜ける選手もいなかったため、福岡攻撃陣が手詰まり状態を起こしてしまう。たまに太田がワンタッチでボールを裏に出してサイドの選手を利用するが、ボールの精度を欠くことが多かった。致命的なのは背の高い二人が二人揃ってロングボールに対するボールの落下地点の読みが不正確な為にヘディングでつなぐことができない。そうやってボールを失っていくうちにロッソペースとなってしまう。ロッソペースであった事は福岡のコーチが「リズム悪いから中をしぼって守れ!マンマークだけ気をつけろ!」という声がでていたあたりに現われているだろう。大量得点でリードしていたということとロッソが攻撃的な選手交代でシステムを変更したということを差し引いても有光がいなくなってからの福岡攻撃陣には怖さを感じる事はなかった。

◆守備のおさらい

さて、筆者がもしも監督であったら、オフサイドを取ることはあきらめる。有光を押さえ込むにはサイドのスペースをつぶすのが必須となる。そうなると両サイドが下がって5バック気味になるがその状態でオフサイドトラップをかけるにはあまりにも危険が高すぎる。よって3バックの真ん中の選手がラインに参加するのではなく、1人余る形にしたほうが良いと思う。落合が裏のスペースをカバーできる位置に下がって飛び出しに対応できる状態にしておき、山道は蔚山戦のように有光にボールがでたときに前でボールをカットする状況を作り出したい。もちろん、落合のカバーリングのみではなく、山道もスピードがあるのでボールを裏にだされたときには有光について行きたい。相手は浦和戦で日本代表クラスのDFをぶち抜いた男だ。注意しすぎるということはない。

そうなると怖いのはDFラインがずるずる下がってMFとの間にスペースを作ってしまうことだが、福岡は中盤の中央にスペースが空いていてもボランチが積極的に攻撃に参加してくることが少ない。サイドの選手もその中央のスペースを上手に使う選手がいない。山形恭平がいたらしぼってそのスペースを利用したり、エジウソンがいたら下がってボールを受けて中央でゲームメイクをしたりして上手に使われるかもしれないが、宮崎と中村北斗はサイドアタックに終始していたために、中央のスペースを上手に使った場面はなかった。難しいかもしれないが鳥栖のダブルボランチがバランス良くボールへのチェックとスペースを埋める動きの役割分担を果たしてもらいたい。

◆局所的人数

その他に感じたことは、福岡の攻めの場面では、ロングボールがでる際には3人前線にいてボールを競りに行く場面が多かった。2つ上の図でサイドバックがボールを持った場面があるが、ここでロングボールが出るとすると、FW2人としぼっているサイドのMF1人の合計3人でボールを競りに行くことができる。ボランチは中央バイタルエリアに入っていかず、2人共に比較的引いているために相手DFにはねかえされてもボールを拾える確率が高い。そこでボールを拾えたらはねかえされても第2の攻撃を始めることができる。とくにホベルトは中盤でのボールカットに高い能力をみせていた。神出鬼没とは彼のようなプレースタイルを言うのだろう。とにかくボールに対するよせが早かった。

このように局面で圧倒的人数をかけて攻めきるというのはなかったが、各所各所で人数的不利を作らないという組織的なものは感じた。守備においてもサイドバックが上手にしぼっていたため、センターバックと相手FWが1対1になる場面やクロスボールにDF側が中央に人数が足りないという場面は見なかった。まあロッソの前線の実力的に決定的な仕事ができるFWがいなかったというのもあるが…。ただ、コーナーキックやフリーキックではロッソがフリーでヘディングをする場面(朝比奈が1度決定的チャンスをはずす ← 仕様(笑))が生まれたりとセットプレイでマークがずれる場面があった。そこを狙っていきたい。

もうひとつ、セットプレイと言えば松下のセットプレイは要注意である。ポストに当たるおしいフリーキックもあったし、ゴール前のフリーキックでもなかなか鋭いボールを送っていた。やはりゴール前でのファールは極力避けたい。

全体的なイメージ(注意点)としては浦和戦で感じたこととそう大差はないが、鳥栖の守備面としては有光さえうまく抑えることができれば良い試合ができるのではないかというのを感じた。開幕まであと1週間。そして明日は神戸サテライトとの試合。鹿実戦では不完全燃焼に終わった鳥栖の仕上がり具合を確認してきたい。

※追記

一度アップしたが、ノ−トを見返したら林と中村北斗のいい連携の場面があったので紹介しておく。

ホベルトから右サイドの中村北斗にボールが渡る。中村が林にボールを預け、そのまま右サイドをダッシュ。林はDFラインの裏にボールを出して飛び出した北斗がボールを受ける。北斗はためて林がゴール前まで上がるのを見計らってセンタリング。林のダイレクトシュートは宇宙開発をしてしまったが、右サイドの連携的に素晴らしい攻撃であった。