Jリーグ Division2 2005シーズン

  第3節 サガン鳥栖 0 - 0 横浜FC

2005/3/19

開幕してから1勝1分けとなかなかの好成績でホームへ帰ってきたサガン鳥栖。特に前節は1人少なくなってからの勝利でもありホームでの連勝を狙ったのだが残念ながら引き分けに終わってしまった。ホームでの試合だったのでもっと攻撃的に行って欲しいということでやきもきしたかもしれないが無失点で終えることができ、まずまずのゲームであったと思う。今日の試合は目先の勝ち点ではなく、第3クール以降での勝ち点のための守備組織の確立という形を目指していたと割り切りたい。

◆ 試合への入り方

試合の入り方として、鳥栖は前節と同じようにやや引き気味。横浜FCは右サイド(鳥栖での左サイド)の早川がやや上がり目になる機会が多く攻撃に参加することが多かった。左サイドの守備としては義希と飯尾のコンビが最初にとまどいを見せていた。落合のカバーリングが遅れる場面があり、2対2の状況になると崩されかける場面が見られた。

サイドを崩された場面

この場面は横浜のキーパーのボールから一気にカウンターを受けた場面である。飯尾はボール保持者に対峙するために高い位置ではあるがプレスに向かう。その際の裏のスペースへ早川が抜け出してくるが落合のカバーリングの遅れ、義希のマークのズレの為に早川の独走を許してしまって一気にピンチを迎えてしまった。ここでセンターバックがひきだされると中で待っているFWに合わされてしまうのでセンターバックは我慢してサイドを捨てざるを得ない。ここの場面では早川のセンタリングの精度がなかったために事なきを得たがプレスに対する意識の統一ができておらず危ない場面ではあった。ちなみにこの試合の横浜は早川と佐藤一樹のロングボールの精度が悪いために助かるという場面も多かった。

サイドにおいて大友と飯尾が一対一のマッチアップになった際には飯尾が突破を許さなかった。飯尾の守備力とカバーリング能力はサイドバックとしては適所かもしれない。あとは攻撃面でどれだけタイミング良くオーバーラップできるかという課題は残るが今後は矢野とのレギュラー争いが楽しみでもある。

◆ シルビオへのマークと城へのマーク

今日の試合では横浜のシルビオはほとんどフリーの状態にしていた。シルビオの動きがよくてマークをはずされていたとは思えない。筆者的には鳥栖はシルビオをフリーにしてもさほど怖さを感じないためにある程度自由にさせていたのではないかと思った。確かにシルビオが決定的な仕事をしたのは一度だけではあった。これも左サイドになるが、左サイドで大友が起点をつくり、そのまま大友のクロスにシルビオが合わせる。これは前節のJ1市原VS柏の玉田のクロスからのクレーベルのゴールにも似ていたが、起点をサイドに作られてタメを作られるとボランチがサイドに引き出されてしまう。ここでセンターバックの2人は相手のツートップをしっかりとマークしていたのだが、2列目のシルビオの飛び出しに対するケアがおろそかになってしまっていた。ここは決定力不足に救われたのだが、シルビオの決定的な仕事はこの1回のみであり、その他には怖さを感じる場面はなかった。

捨てていたシルビオとは対極的に城に対しては常に八田と井手口がマークについていた。この試合は城の足下にボールが収まる場面は確かに多かった。しかしながら城が前を向いた場面はほとんどない。ボールが城に入ったら徹底的にプレスに行き絶対に前を向かせないようにして常に後ろ向きのプレーをさせていた。そこで攻撃が遅れることによってサイドの選手もボランチの選手も守備へと入ることができる。これによって横浜の攻撃も速攻による崩しができずに遅れがちになっていた。ここで城が並の選手であったら鳥栖はDFとMFのサンドのプレスに入ったときにボールが奪えただろう。しかしながら日本代表経験もある老練なプレイヤーであったためにキープ力によってここで完全にボールを奪うまでには至らなかった。そこが横浜の攻撃の厚さを生んだ部分でもあり、鳥栖としても簡単にボールを奪えないためにボランチまで守備にはいりきってしまっていざ奪っても速攻に移ることができない原因でもあった。もっと両サイドのボランチの選手やサイドバックが飛び出せる場面があれば攻撃が生きてきたのだろうがなかなかそういう場面は見られなかった。

横浜としては城がマークにあっていたためにマークをずらそうとFWやMFのポジションチェンジの場面が目立ってくる。特に小野と大友は自由自在にポジションチェンジを行っていた。鳥栖としては横浜のポジションチェンジに対してもふられることなく冷静に守備ができていたと思う。図の場面は城がヘッドで競るときの大友の動きである。

城がロングボールをサイドで受ける時の図

ロングボールがサイドにでるときには城が競りに行き、そしてその空いたスペースへ大友や内田、小野が入ってくる場面が見られた。ところが横浜FCとして誤算だっただろうがこの試合での制空権は城ではなく八田が握っていた。福岡戦でも林に競り勝っていたし、筆者的には今日は城をほぼ完全に抑えた八田をMVPに上げたい。八田が制空権を握っていたという点と宮原がトップ下ながらも守備意識が高いプレーをしていたためスペースを埋めることができて落合、ビジュのセカンドボール奪取へとつながっていた。

つぶし合う横浜と鳥栖

全体としてはお互いにつぶしあう展開。どちらのチームもコンパクトさという点ではやや欠けていたのでお互いに強烈なプレスがあるわけでもなく、裏への抜け出しが優れていたわけでもない。結果的にロングボールが多くなってしまってつぶし合う展開が多くなってしまった。ただ、札幌戦に比べるとボランチが最終ラインに吸収されてしまう場面はこの試合では少なくなっていた。そういう意味ではこの試合で一番難しかっただろうと思われるのがビジュと義希の動き。守備の意識という課題を与えられつつ攻撃時にはこの2人が押し上げていかないと厚い攻撃にはつながらない。大きな運動量を求められるがビジュと義希そして交代で入った竹村は頑張っていたと思う。竹村の最後の1対1のシーンは決めて欲しかったのだがこれは前節のJ1のFC東京と広島の試合でサイドでフリーになった石川がためにためてシュートを放ったが防がれてしまったのと同じ様な形ではずしてしまった。ボールを受けて自分のタイミングで放とうとしてもその間にキーパーもつめてきたりタイミングをとられたりするので決めるのは意外と難しいのかもしれない。

◆ 前線の三人の動き

今日はツートップはお互いに近い位置にいて段々と連携が深まってきているのを感じた。ロングボールが氏原にでると鈴木が近くによっていったり、バックヘッドを見越した動きで前線に走り出したりというのが見られた。そこでボールを奪ってポストプレーで宮原に返したときにそこからのスルーパスやサイドチェンジで攻撃に移りたかったのだが、前述のようにサイドバックの飛び出し、ボランチの追い越しがなかなかないためにそこからのパスの選択肢がやや狭かった。この試合では宮原の動きが悪かったと感じる人も多かったかもしれない。確かに残念ながらこの試合の状況では宮原が生きることはなかなかできなかった。宮原は前を向いてパスの選択肢が多いときに最適なパスコースを選択できる選手だと思うが、パスコースが限定されるとドリブル突破という武器を持ち合わせていないのでやや辛かったと思う。それでもセットプレイのシーンでは期待させるキックをしてくれる。

◆ 大友退場後について

簡単に記すが、前線は点が欲しいために前がかりになる。最終ラインは相手が裏のスペースへのボールを出して来るために慎重になる。ここの温度差がでてしまってラインを押し上げることができずに中盤にスペースをつくってしまって悪い意味でのカウンター合戦になってしまった。鳥栖としては慌てて前線にだすのではなく、人数的に有利なので最終ラインまで戻してもよいのでサイドチェンジを繰り返しながら空いたところを狙って行きたかったのだが、試合に勝ちたいという気持ちが空回りしてボールが前へ前へとでてしまって逆に厚い攻撃につながらなかった。ボールを回している内に横浜のFWの選手まで守備に戻らせるような形にしてしまえば速攻を許すことなく落ち着いた試合ができていただろう。ホームであるがゆえに勝ちに行きたいという気持ちがあったのでこういう形になってしまった。皮肉にも前節の札幌のように人数的に有利ながらも結果に結びつけることができなかった。

村主の交代については宮原の運動量が減っていたので前線での守備を期待していたのだろう。守備面を考えての交代であったのだが、大友が退場してしまったので村主は最初に与えられた役割である守備面ではなく、攻撃面での役割を果たさなければいけなかった。そういう意味では適材適所ではなかったのだが、さすがの松本監督も大友の退場までは読めなかったらしい(笑)

最後に、いままでのレポを見直してみると矢印の色がVol.毎にバラバラであった。遅まきながら矢印の意味を統一し、「サイトについて」で記載しているのでもしよろしかったらご参照頂きたいと思う。