Jリーグ Division2 2005シーズン

  第18節 サガン鳥栖 1 - 1 徳島ヴォルティス

2005/6/27

今期開幕戦以来の10000人以上の観客が入った試合。しかもデーゲームの結果より、勝てば再び昇格圏内の2位にはいるというナイトゲーム。相手は第1クールで終了間際に苦杯を味わった徳島ヴォルティス。舞台は整った。後は勝利の美酒を味わうのみ!だが…残念なことに引き分けてしまった。ゴール裏のサポータも試合終了後の挨拶で後ろを向いて選手への思いを伝える。監督、選手、そしてサポータ。みんなの勝ちたいという思いが実らなかったが、当然ここで終わりではなくまだまだ試合は続く。選手にとって幸いなのは次節もホームでの戦い。水戸戦はぜひとも勝ってゴール前のサポータ共々前を向いて選手を祝福したい。

◆ 徳島ディフェンスライン

図の1と2は前半の徳島のディフェンスラインである。登録上はディフェンスは3人であったが、鳥栖がボールを持って前を向いたとき、ボールがまだハーフウェーラインから鳥栖よりにあるにもかかわらず、サイドの選手のうちの1人(もしくは2人とも)が下がりサイドのスペースを埋めていた。鳥栖の生命線は両サイドバックの攻撃参加。その生命線を使われる前にあらかじめ埋めておこうという意図が見て取れる。しかしその反面、ボールへのプレッシャーという面ではその分劣ってしまう。前半に鳥栖がボールがつながったのは前線、中盤でのプレッシャーが少なく徳島の両サイドも下がっているためにセカンドボールを拾いやすい状態であった。これが奏して前半の猛攻につながったのでが、追加点を奪えなかったことはホントにもったいなかった。

図3は後半の徳島のディフェンスライン。ちょっといい構図がとれなかったのでボールがすでにサイドに入った場面になっているが、前半と比べてサイドの選手が1列前で構えていて、ボールがサイドに入ったときにプレスに行きやすい状態になっている。また、ディフェンスラインも3人が上がり目にラインを引いて、鳥栖のFWを置き去りにするくらいオフサイドトラップをしかけている。前半よりもずいぶんと前目で守備をして攻撃にもサイドの選手が参加してきていた。これが前半と後半が違ったチームに思えた要因だと考える。

ただ、その徳島のディフェンスも決して組織的というわけではなかった。ボールの方によりすぎて反対側のサイドを大きく開けてしまったり、マークを見失う場面も多々あったのだが、鳥栖もパスミスや中盤で持ちこたえることができないためにボールを失ってしまっていた。相手も前目にでてきていたので鳥栖も攻撃するチャンスはあったのだが、前半で攻め疲れしてしまったのかなかなか効果的なパス回しができなかったのが残念だ。

◆ 前へ!前へ!

図1はカウンターの場面、中盤でボールを奪って素早いボール回しで攻めあがる。奈良崎は持ち前のスピードで素晴らしい位置への上がりを見せていた。ボールがその奈良崎へと渡る。前方には広大なスペース。フィフティフィフティの状態ではサイドをつぶされていたとはいえ、カウンターの場面では図のようにスペースをつくチャンスはあった。ここはドリブルで独走してほしかったのだが…

ここで図2のようなあせりからかアーリークロスをあげてしまう。ファーサイドの高林にはディフェンスもしっかりついているし、キーパーもそれを警戒してゴールを空けてクロスへと備えている。このシーンはディフェンスがカットしてしまう。何度も繰り返して書いているが、アウェーでの仙台戦、京都戦、山形戦。ほとんどのゲームでゴールをあげているのはグラウンダーのクロスからのシュートである。この先発ツートップでアーリークロスがゴールに結びついた場面はほとんどない。(ここでファーサイドで絡んだのは高林であったが)松本監督もサイドバックの勝負の意識ということをおっしゃっていたが、鳥栖の得点パターンとしてはサイドバックが勝負して敵陣奥深くまで切り裂くこと。そこからの折り返しをつめていきたい。前半にスローインからの義希のすばらしい折り返しがあったが高さのないFWではあれが一番確率が高い。新居の先制点は筆者は言葉は悪いがお互いのチームにとって"事故"だと思っている。

…とここまで書いていてなんだが、後半からでてきた氏原だけは高さでアーリークロスに対する可能性を見せてくれた。後半終了間際のヘディングはノリヲの好セーブにはばまれてしまったが素晴らしいシュートであった。ゲームの組み立てにおいても終盤戦は中盤を省略してロングボール中心になるが、氏原はヘディングで競り勝っていた。このようにパワープレイに強いタイプであるので以前も書いたが筆者は氏原がスーパーサブになってくれればと思っている。本人は先発ででたいだろうが、彼はポストプレイと運動量でゲームを作るタイプではなく、ストライカーとしてゴール前で勝負するタイプ。終了間際に出てきたほうが相手チームも怖いのではないだろうか。

ゲームの組み立てといえば、師匠が今回は不発。新居もいい動きをみせていたが、2人に対するボールがなかなかいい形で送ることができなかった。やはりサイドに流れてのポストプレイも大事だが、ゴールへ向かうには中央でボールを受けること。サイド攻撃も中央でのポストプレイがあってこそ生きるものである。今回は徳島がサイドのスペースを消しているだけに中央でのキープと飛び出しが欲しかったがなかなかバイタルエリアで受けることができなかった。また、この試合では中央からのスルーパスがほぼ皆無だったように思える。宮原にバイタルエリアでボールを持たせて仕事させたいが、ボックス型で守備に奔走していたのでなかなかバイタルエリアで絡むことができなかった。

さて、落合であったがバランスをとろう、とろうとして肝心な所で人につくことができなかったり、ゴール前の不用意なプレイで相手選手にボールを渡すことも数回。試合勘がもどっていないのかもしれないが、ここから暑い夏場に入ってくるのでスタミナを消費するボランチは是非とも選手層を厚くしたい。飯尾が過労死してしまうので上位チームではなく比較的組みやすい下位相手に落合をリハビリ代わりでだしているのではないだろうか?昨年落合がレンタル移籍で入ってきたときの驚きはみなさんも覚えているだろう。やわらかなボールタッチとキープ力。そして戦術眼。調子を上げてくればかならず活躍してくれる選手である。今後の落合のプレイに期待したい。

調子といえば、義希。フランスに行った疲れなんてなんのその。あの無尽蔵の運動量はどこからでてくるのだろうか?筆者は今後の戦いのキーポイントは義希だと考えている。いまのサガン鳥栖において左サイドハーフは彼以外には考えられない。怪我なく無事1年間戦ったときにその答えは待っていると思う。

※ 図はすべて『SKY PerfecTV! (2005/18節 サガン鳥栖 VS 徳島ヴォルティス)』より引用