Jリーグ Division2 2005シーズン

  第22節 アビスパ福岡 3 - 2 サガン鳥栖

2005/7/21

第2クールの最終戦は今期2度目となる九州ダービー。福岡も試合前から敵意むき出しであり相手にとって不足なし。ここのところ調子が悪いサガン鳥栖ではあるが、ダービーとなればそうも言ってられない。気持ちで相手を圧倒して勝利を挙げたいところであったが結果は後半ロスタイムに決められてしまうという劇的で、そして非常に残念なものになった。しかしながらダービーという名にふさわしい熱い戦いであったことは疑いの余地はない。熱い熱い戦いであったが、その試合を冷静に振り返ってみたいと思う。

◆ 試合への入りは守備重視

※ 図は『SKY PerfecTV! (2005/22節 アビスパ福岡 VS サガン鳥栖)』より引用

試合開始直後に氏原のロングシュートで試合は始まったが、試合自体は福岡のペースで進む。図のように試合の入り方としては鳥栖はかなり引き気味でスタートした。8人でディフェンスを行い、そしてロングボールを2人のフォワードに当てる作戦であった。FWの2人がロングボールをキープできないので押し上げができずなかなか鳥栖も攻めに転じることができない。

福岡は引いてきた鳥栖に呼応するように両サイドの選手とボランチがさかんに前方へ出入りして崩そうと試みる。特にボランチの2人は積極的に攻撃に絡んできていた。しかしながら、鳥栖は開幕戦で散々裏を取られた事が反省となっていたのか、裏を取られて崩されたシーンは一度もない。裏のスペースをつぶしていたため、奪ってからの展開がままならずボールポゼションは低かったのだが、非常に粘り強く守っていたと思う。

福岡は前半10分までにボランチがミドルシュートを3回ほど放っている。前半30分くらいにも中村北斗、有光と続けてミドルシュートを放つが、サイドからの崩しが効かないので攻撃が手詰まりになってきてからのシュートというのが見て取れる。これまで福岡というチームはそんなときにでもミドルシュートがあまりなかったのだが、前々節の松下のミドルシュートといい、この試合でも積極的に打ってきていた。まあ、これはこれで脅威ではあったのだが。

右サイドバックとして奈良崎に代わって出場した一柳であるが、守りで多大な貢献をして、アレックスや宮崎に仕事をさせなかった。一柳は攻め上がりこそ少なかったものの、ボールが左サイドにあるときはしっかりと絞って中をケアし、中央や右サイドにボールが展開されるとマークするべき選手を決して見失わず、福岡の生命線であるサイド攻撃をしっかりとつぶしていた。ゾーンをしきながら人を捕まえるという松本監督の守備戦術を一番具現化できていたと思う。また、運動量という点ではビジュのプレスもかなり効いていた。ビジュはほぼ復活したと見てもよいだろう。後ろのスペースと飛び出してくる福岡の選手のケアをさかんに行っていた飯尾と八田にも拍手を送りたい。

◆ 失点からのバランス

※ 図は『SKY PerfecTV! (2005/22節 アビスパ福岡 VS サガン鳥栖)』より引用

またしてもセットプレイから先制点を奪われてしまったのだが、失点した事によって点を取るために前がかりにならないといけない。よってボールを積極的に奪いに行くディフェンスに切り替わる。福岡が小気味よいパス回しで崩しを狙っていたのだが、なかなかどうして鳥栖も組織的なディフェンスでボールを奪う機会も増えてきた。図がその典型的なシーンである。図1では左サイドへボールが入ると4人で囲みこみ、ボールを奪おうと積極的にプレスをかける。図2でプレッシャーに負けた福岡がディフェンスラインにボールを戻すと再びラインを形成するべく動きを整える。そして図3では福岡がFWへくさびを入れようとするボールをビジュが出足するどくカットを試みる。カットの後はボールがつながらずに攻撃に転じることはできなかったが、非常にいい形の守備ができていた。

先ほども書いたが、この日のツートップはボールを奪ってからの動き出しも少なくボールのキープができないために引いている鳥栖の中盤選手があがる時間を作ることができなかった。ちょうど、この試合の次の日に清水と大阪の試合を見たのだが、ボールを奪ってからの前線の選手の動き出しの速さには雲泥の差を感じる。特にこの日のツートップである氏原と新居はお互いにボールを交換して崩そうという動きがなく、2人の連携した形が作れずに単発な動きに終始していた。フォローが少ないという点や、トップに当てるボールの質が悪かったというものもあるかもしれないが、それまでのボールを引き出す動きができていなかったのも事実。氏原は53分に小井手からのスルーパスに鋭く反応して素晴らしいシュートを放ったのだが、それ以外は消えていたと言っても過言ではないだろう。かなり厳しいことを書いたのだが、鳥栖は相手に走り勝つ事、そして全体の運動量でスペースを作る事によって活路を見出すチームであるので前線の選手にはもっともっと頑張ってほしい。

◆ 2失点目解析

※ 図は『SKY PerfecTV! (2005/22節 アビスパ福岡 VS サガン鳥栖)』より引用

2失点目は福岡が選手交代した直後に喫してしまった。中央から左サイドの山形へ展開されたときに鳥栖は最終ラインはそろっているものの、左サイドには大きなスペースを与えてしまっている。図2は山形がボールを保持している場面。アレックスが裏へ抜けようとしているが、センターバックがカバーリングへ向かう。代わって入った直後の太田を警戒するあまりかマークが太田に集中しており、ボールサイドに体が向いているのでファーサイド一番裏にいる田中の存在に気づいていない。そのまま太田を囮にされて田中のうまいシュートに決められてしまった。交代直後でのマークの混乱があったかもしれないが完全に崩されてしまった失点であった。

筆者は開幕前に福岡で一番怖いサイドアタッカーは山形と言っていて、今年は不調で試合への出場も少なかったのだが、この試合では1ゴール1アシスト。嫌な選手を目覚めさせてしまった。

◆ 試合総括

前半の最初は福岡のペース。セットプレイから福岡が得点してからは鳥栖も攻勢にでるようになり決して消耗戦という形ではなく、ダービーらしいゴールを奪い合う熱い戦いになった。全般的には福岡がペースを握っていたものの、後半には鳥栖の時間帯もあり、組織的な守備と鋭いプレスから福岡のパスミスをさそってたびたびカウンターで福岡ゴールを脅かしていたのだが残念ながらあと一押しが足りなかった。

守備組織に目を向けても最終ラインのコントロールでオフサイドを誘ったりするような形はなかったものの、試合開始当初に引き気味なときも、動き出してからプレスをかける場面でもチーム全体として動けていたと感じる。このように試合全体においては非常によかったのだが、失点のシーンは3つとも人を捕まえきれなくなってからの失点である。そのシーン以外は崩されたシーンはほぼ皆無と言ってもよかっただけにこれは非常にもったいない失点であった。

最終局面の88分に始まった新居のシュートからの連続攻撃はかなり高揚してしまった。特にコーナーキックのチャンスでは決まる雰囲気がかなり漂っていた。最後の失点はフリーキックからの古賀のロングボールをつながれたもの。鳥栖も勝ちに行こうとして前線に選手を要していたのために対応が遅れてしまった。最後の集中力ということがうたわれているもののこの試合での経験は必ず今後に生きてくると思う。

最後に、熱い熱い戦いを見せてくれて、サッカーのドラマ性と楽しさを改めて感じることができた事を両チームの選手に感謝したい。