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Jリーグ Division2 2005シーズン
第22節 サガン鳥栖 3 - 2 京都パープルサンガ 2005/8/10 第3クールを思わぬ敗北でスタートしてしまった我らがサガン鳥栖。相手が草津だっただけにぜひとも勝利が欲しかった所だが、逆に言うとそういった気持ちが勝利への執念を失わせてしまったのか。今節はウイークデーに首位の京都を招いての一戦。厳しい闘いが予想されたが試合はロスタイム寸前の劇的な一発でホーム2勝目という形で幕を閉じた。電車の都合で熱狂するサポーターに後ろ髪をひかれながら鳥栖スタジアムを早めに引き上げたのだが、鳥栖駅へ向かう陸橋を渡るときにもその歓声は消えることなくいつまでも、いつまでも鳥栖の街を響き渡っていた。 ◆ ミス、ミスそして…ミス? 正直言って、スタジアムで見ていたときの事を思うと前半は点がまったく入る気がしなかった。試合の入りで一柳のクロスに氏原が合わせたように積極的にシュートを打っていたのだが、しばらくしてそれもなりを潜める。そして徐々に京都のペースになって失点を喫した後はパスミス、そしてトラップミスのオンパレード。全体の運動量も少なく感じ、次のボールの動きを予測できない選手たちにイライラを覚えつつハーフタイムに入った。ゴール裏からは響き渡るブーイング、そして不満の声。またしても同じ試合ような形で負けてしまうのか。 …というイメージを持ってビデオを確認していたのだが、改めてみてみるとパスミスは京都の方が圧倒的に多かった。筆者は鳥栖のプレイに単純なパスミス、トラップミスの数が多いことを見越してビデオをまわしだすと同時にノートとペンを持って待機していたのだが、残念ながらペンの活躍の機会が少ないために、ノートは数行のみで終わってしまった。 京都のミスが多いように思えたのは、鳥栖はこれまで度々みせていたが、サイドでの局面において自ら囲みこんでプレスからボールを奪いに行くのではなく自らのポジショニングを取りながらコースを限定して徐々に追い込んでいく。ボールを奪いに行かない…いや、行けなかったのは京都には個人技に優れた選手が多かったという点を考えると妥当だろう。奪いにいって交わされてしまうととたんにピンチを迎えてしまう。現に中払の神出鬼没の動きには翻弄され、アレモンのキープには手を焼いていた。中払の巧妙(?)な時間稼ぎにも手を焼かされてやきもきしていたが(笑) ひとつ前半で気になることをあげるとしたら、やはり1対1の勝負の気持ちにかけていたこと。サイドの局面で相手のサイドと1対1になったにも関わらずドリブルによる勝負ではなくアーリークロスという簡単な選択を選んでいた。ただ、以前からのレポートでも書いていたように氏原のような高い選手がいるときにのみ有効であろうアーリークロスが、序盤は氏原にはまりそうなタイミングがあったので、あの一発を決め切れなかったのは非常に残念だ。 ◆ この試合最高の組み立て ※ 図は『SKY PerfecTV! (2005/24節 サガン鳥栖 VS 京都パープルサンガ)』より引用 この試合最高の組み立てとして筆者はあえて京都のプレーをあげたい。このプレーこそが鳥栖が目指して欲しい、ディフェンスラインからのスピードのある組み立てである。FWの動きとそのスペースを使うMFの非常に組織的な攻撃であり、鳥栖のディフェンス方法にも問題があるシーンであった。まずは図を参照していただきたい。
京都はディフェンスラインでボールを回していた。ちょうど左サイドから右サイドへ展開してからのくさびである。アレモンはマークをはずしながらくさびが入ることを感じるとぐぐっと引いてボールを受けに行く(1/4) 鳥栖はサンドでボールを奪いに行くが、アレモンがぎりぎりでキープしてボールを奪えない。その間、中払はアレモンが空けたスペース(アレモンにボールを奪いに行ったためにセンターバックのエリアが空いている)に向かって走りこむ(2/4) アレモンは振り向きざまに中払に向けてスルーパス。中払の動きが見えていたのかいなかったのかはわからないが、高地はしぼれず、一柳ともう1人のセンターバックは田原に惑わされ、中払のマークにつくべき選手(飯尾?)は遅れて後ろから追いかけていく(3/4) 中払はスピードの乗ったドリブルでエリア内まで入ってきてシュート。シュナの好セーブがなければ確実に1点ものであった。(4/4) ディフェンスラインからくさびが入ってわずか一瞬の隙のうちにゴールに迫る攻め。DF、MF、FWの思惑が一致しているこの一連の動きによって柱谷監督のアレモンというポストプレイヤーを使った戦術が伺える。これを鳥栖に置き換えてみたらどうだろう?くさびを入れるのは高地、ボールを受けるのは鈴木師匠、そして裏に抜ける動きは義希。決して鳥栖の選手にできない動きではない。特に鈴木師匠はボールを受けてからはたくだけでなく、前を向くことのできるテクニックを持ち合わせているのでポストプレーヤーとしても期待しているのだが。 ◆ サイドバックの攻撃参加について さて、最近の鳥栖の関連サイト(掲示板等)を見て回るとサイドバックの攻撃参加が足りないという意見をたまに見かける。ここでサイドバックのポジション性質と役割をもう一度思い出して欲しい。サイドバックはあくまでもディフェンダーであり、極端に言えば攻撃参加はオプションでしかならないのだ。様々な戦術論者がいらっしゃるが、筆者は運動量と守備に重きを置いているタイプなのであくまでサイドバックはディフェンダーとしての仕事をまっとうすることが先決だと思っている。 さて、サイドバックの攻撃参加のタイミングであるが、これが非常に難しい。基本的には以下の状況だと思っている。 ・ サイドの局面において組み立てに参加する場合 ・ サイドバックの前方にスペースがある場合 ・ 負けている状況で攻撃に人数をかける必要がある場合 サイドバックが上がることによって以上の条件が満たされて当然攻撃に厚みが生まれる。組み立てに人数を増やすことができたり、スペースにおいてフリーでボールを受けることができたり、セカンドボールを拾う厚みを生みだすことができる。だがしかし、サイドバックの攻撃参加は諸刃の剣であって、サイドバックが上がることによって自分の後方に必ず相手にとってのスペースを生み出す。上がっていったところでボールを奪われてしまったら、相手にとっては即チャンスを迎えることにもなるのである。その諸刃の剣を抱えている状態で常に攻撃に参加することはナンセンスに近い。 しかし、そうは言っても引きこもってばっかりではなかなか点が取れない。そこでサイドバックが攻撃参加を決意するポイントとなる動きをあげてみる。 ・ 前線の選手のポストプレイによって"ため"ができる場合 ・ 中盤の選手のキープ力が高くボールの配給が予想できる場合 ・ 自分が上がった際にできるスペースのケアを他の選手ができる場合 サイドバックがあがるきっかけを作るためには、前線がためてくれることによって時間を稼ぐことができたり、中盤にパスセンスがある選手がいてボールがでてくることが予想されたり(もちろんサイドバックをおとりとしてもよいのだが)、上がっていったときのケアをしてくれるボランチ、センターバックの協力がある場合である。上の条件が満たしているチームはサイドバックの攻撃参加が非常に頻繁になっているはずだ。 さて、上の条件はすべてどの状況下においても他のプレーヤーとの信頼、そして意思疎通が不可欠。果たして、現在の鳥栖の選手にそういった絶大なる信頼を得るプレーヤーはいるだろうか。 ☆ ちょっと予断だが、麻雀をやる方はわかると思うが、局面も7順目から12順目くらい(俗にいう2段目(笑))に入ってきて相手にもそろそろ聴牌(立直)が入りそうな場面で、自分がポン、もしくはチーできる牌が捨てられたときに非常に迷うと思う。鳴いてしまうと相手に立直が入ったときに受けに回る牌が少なくなってしまうし、この牌を逃したら聴牌までの道のりが非常に遠くなるかもしれない。得点状況、順目、流れ、様々な状況下において攻撃に出るのか受けに回るのかを考えるともしかしたらサッカーと麻雀というゲームは似ているのかもしれない(笑) ☆ さて、サイドバックが上がるきっかけについては難しいことは重々理解しているつもりなのだが、局面において1対1の場面ができた場合はまた別の話である。もう一度連勝中の試合を思い出して欲しい。連勝中に決めたゴールの大半は深い位置までえぐってからのグラウンダーのクロス。高さに優位を誇る選手がいない鳥栖にあって低い位置からのアーリークロスは確率においては分の悪い攻めとなっている。では、深い位置に入るためにはどうしたらよいだろう。スペースをついたスルーパスや、トップの位置でキープしてからの展開も考えられるが、やはり一番即効性があって効果的なのはドリブル突破。サイドを優位に進めるにおいてこれ以上の効果的な攻めはない。 さて、ここで最初の論点に戻るが「サイドバックの攻撃参加が足りない」と書かれている内容を「サイドでの1対1での勝負できる局面においてドリブル突破による勝負ができていない」という言葉に置き換えるとどうだろう。なんともしっくりくるのではないだろうか。サイドバックが前線にでてきた段階である程度のリスクをかけて攻撃にでてきているのである。無駄に玉砕するのも考え物だが、1対1で勝負できる場面において勝負をせずにすごすごと戻るのは攻撃に参加した意味がない。鳥栖が1点を取るためには深い位置までえぐること。そのためにはドリブル突破による攻撃が近道。しかし最近の試合においてはそのような場面を見る事が少ない。筆者が攻撃面において現在サガン鳥栖がかかえている問題はこの点が大きいと考える。 右サイドは奈良崎という守備にある程度目をつぶっても攻撃で勝負できるサイドバックを配していながらここのところ結果が伴わないために、守備型の人間である一柳がスタメンに入っている。Blogでも書いていたが鳥栖は仙台戦でも失点を喫してしまってこれで12試合連続失点中である。この失点癖を抑えることができなければ勝ち点はみるみるうちに手元からこぼれていくだろう。筆者はサイドバックに守備型の選手(飯尾、加藤、矢野、一柳)を配することが調子を取り戻す近道だと考えている。 そこでサイドバックの攻撃力が減って得点力が減るかもしれないという懸念があるかもしれないが、上図で示されているように京都が崩した場面では前線はたった3人で崩せているのだ。もちろん、サイドバックは前線での攻撃には参加していない。ディフェンダーはサイドバックも含めてしっかりと守り、ボールを奪ったら前線の選手の活発な動きで必要最低限の人数で切り裂いていくスタイルを確立できれば攻撃と守備のバランスが非常にとれているチーム作りができる。 山形のように臼井、内山のように両サイドバックが矢の如く突進してくるチームもおもしろいと思うのだが、両サイドバックがしっかりとサイドをケアして守備を行い、前線の選手が鋭い動きでくずしていくスタイルをぜひとも目指して欲しいし、私はそういうサガン鳥栖が見たい。 ◆ アルレイの可能性 ※ 図は『SKY PerfecTV! (2005/24節 サガン鳥栖 VS 京都パープルサンガ)』より引用
図はアルレイがボールを奪われてからの局面。自ら奪われたボールを取り返すべくアルレイがチェックに行く。残念ながら交わされて左サイドへの展開を許してしまう(1/3) 京都の攻撃は早く、左サイドのスペースを使われて美尾にボールがでたときに4対4という場面を迎えていた。サガンの攻守の切り替えが遅いのか守備陣の戻りが非常に遅い。ところがアルレイが必死のダッシュで自陣へと戻っている(2/3) 美尾は右サイドを独走し、八田を個人技で交わす。ここでいつもだったら天敵である美尾のミドルシュートが突き刺さる場面であったが、アルレイのカットによって事なきをえる。 このアルレイの必死の戻りによるカットがなかったら京都の2点目が決まっていたかもしれない。そうなるとこの試合は終わっていただろう。鳥栖はこのアルレイのカットを起点にして長谷川の同点ゴールを生みだす。0-2になるか1-1になるか。まさに天国と地獄の分かれ目と言ってもいい場面である。この試合が『江川な人』のコーナーにとりあげられたとしたら筆者はこの場面で応募していただろう(笑) この試合を見る限りではアルレイは常に動き回って相手をかく乱するタイプではなく、ブラジル人らしく普段はさぼることがあっても、チャンスと見ると一瞬の動きで相手の裏を取るようなプレーが得意のようだ。しかしその動きの質は決して平凡なものではない。このように危機を察知した際にゴール前まで戻って守備を行うことができるし、この試合でも多く見られたが、サイドのスペースを見つけるとそこへと走りこむ感性を持ち合わせている。小井手、長谷川、義希からボールを配給されたが追いつかない場面が多かったので、見た目にはよい出来ではなかったかもしれない。ただ、そこへ走りこむことができる感性とパスの供給の息が合えば攻撃の起点を作ることは十分可能だと思う。 また、アルレイに多く見られたのがサガンの前線ではあまり見られないワンタッチでのプレイ。成功することはあまりなかったが、攻撃にリズムを作るという意味でもワンタッチによるはたきというのは非常に有効である。これも周りとの息があってきたら素早い攻撃を繰り出してわくわくするシーンが見られるだろう。キープしてポストのできる鈴木、もしくは豊富な運動量とセンスで相手ディフェンスラインをかき乱す新居と組ませれば面白い存在になるかもしれない。 アルレイ、セーザと共に若い2人の未来にはまだまだこれから学ぶべきことはたくさんある。これからもっともっと努力してサガンの中心選手となって大活躍してくれることを期待している。
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