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Jリーグ Division2 2005シーズン
第30節 サガン鳥栖 1 - 1 アビスパ福岡 2005/9/14 どうしても勝ちたかった試合。昨年の同じ日に勝利の美酒を味わった日。前回のダービーにおける終了間際に起きた博多の森の悲劇。勝てば今年のダービーは五分と五分の星に戻る戦い。借りを返すにはこの日しかない。しかしながら…残念ながら引き分けというより痛み分けと言ったほうが適切であろう。前回の借りを返すのは今年最後の九州ダービー。博多の森での初勝利まで美酒はお預けだ。 ◆ FWの動きの質 ※ 図は『SKY PerfecTV! (2005/30節 サガン鳥栖 VS アビスパ福岡)』より引用
1-1で迎えた後半、シュナからのボールがこぼれ、宮原がボールを奪い前を向く。宮原が前を向いた瞬間、鳥栖のFWの2人は動き出しを始める。福岡は最終ラインでディフェンスが3人ついている。 鈴木はボールを受けるべくゴール前への飛び出しを試みる。新居はフリーでボールを受けるため、そして宮原のドリブルコースを作るためにサイドのスペースへと流れる。この新居の動きの質が非常によかった。千代反田はサイドへ流れる新居を見つつ宮原が気になるが動けない。長野は裏の鈴木の動きもサイドへ抜けようとする新居の動きも気になるので動きが取れない。これは宮原がスルーパスを出すのが得意な選手であるからというのもディフェンス側がパスの受け手を気になってしまう一因であるのではないか。 そうするうちに、ゴール前まで来てしまった。長野からは新居の動きが見えているだけに宮原へと飛び込めない。しかしながらこれ以上前に進めるわけにはいけないので千代反田が新居へのマークを捨てて宮原をつぶしにいく。時すでに遅く左足で強烈なミドルシュートを放つ。一度はキーパーに弾かれるものの、こぼれだまを鈴木師匠がゴール前まで詰めていてダイビングヘディングシュート。しかし、これが惜しくもはずれてしまう。 この一連の流れの中でのFWの動きの質は非常にレベルが高かったと感じる。 新居の動きは例えるならばオーウェン。一瞬の動きでディフェンスのマークをはずし、裏をついてシュートを打てる位置でボールをもらおうとする動きをする。その動きにディフェンスが惑わされてボール保持者のためのコースを作ることにもなる。その位置はボールを受けていたら甲府戦でゴールを蹴りこんだ位置でのポジション。新居は自分の間合いでボールを受けようとサイドへ開き、また一瞬にして中へ切り込もうとする。 鈴木師匠の動きは例えるならばラウール。味方がシュートを撃ち終わってもわずかな隙が生まれる可能性を信じてゴール前まで走り抜ける。ラウールのよさはゴール前でのさぼらない動き、常にこぼれだまを狙う姿勢。ゴールの嗅覚というのはセンスだけの問題ではなく、常にボールを、そしてゴールを狙うという事が必要なのだ。今年の鈴木師匠の泥臭いシュートはその姿勢の賜物である。関東大学リーグ得点王は伊達ではない。 もちろん、宮原の動きも素晴らしかった。ぎりぎりまで相手をひきつけて自分の間合いで思い切ったミドルシュート。残念ながら決めることができなかったが、積極的で威力のあるシュートであった。 もうひとつ褒めるならば水谷が宮原の正面にポジショニングを取ってミドルシュートに対する防御体制を取っていたこと。敵ながらあっぱれであった。 この一瞬だけでも攻守の間合い、スピード、駆け引き、サッカーの醍醐味をかなり味わえることができた。 ◆ にくいぜ、ずるいぜ、あんちくしょう ※ 図は『SKY PerfecTV! (2005/30節 サガン鳥栖 VS アビスパ福岡)』より引用
その男はいつも音もなくやって来る。時にはカウンターに入ってすぐ。時には相手のゴール前でのカバーリング、時には自陣からの展開時の矢先。 そして…今回はサイドに拠点を作った瞬間。 自陣ゴール前での守備から、長いくさびのボールを鈴木師匠に当てる。師匠が一度つぶされながらも再び鳥栖がボールを拾い、サイドの義希へと展開する。福岡は攻めていたのでまだ守備に対するケアができていない。新居が最前線に張っていて相手のマークは1人しかいない。これは決定的なチャンスだ! 義希が前を向く。ボールを前へと進める。この後義希がサイドを切り裂いてマークをうまくはずした新居にボールを渡し、勝ち越しのゴールを決めるはず。心躍り上がる歓喜の瞬間への期待。 しかし…あの男が鋭いダッシュでやって来た。 義希はつぶされる。と、同時にチャンスの芽も一瞬にして潰える。 ☆ 筆者は初めて見たときから福岡の背番号8は忘れる事ができない。 2004年の第2戦。鳥栖スタジアムでの九州ダービー。米田と太田の2ゴールで0-3と完膚なきまでに叩き潰される。筆者はこの試合を福岡サポの友人と3階席で見ていた。背番号8の彼は来日してまだ試合をこなしておらず、チームからの信頼を得ているとは言い難い状況であった。 彼はブラジル人らしからぬ"個人技のなさ"であった。ドリブル突破等の我を持たないプレー。スルーパスを出そうとするが、引いてボールを受けるタイプのベンチーニョや走るタイプではない太田に合わない。縦の関係になれない米田にもうまくボールを渡せない。 しかしながら、守備におけるポジショニングセンスとボールを奪う事に関しては一級品であった。鳥栖が攻めようとするときにかならずつぶしにかかるのが背番号8。福岡がどんなに攻めていてもなぜか背番号8は後ろで全体を見つめ、鳥栖のカウンターの基点を的確につぶしていた。 しかし、その時期に彼が目立っていたのはパスミス。ボールを奪うもののその後の展開が非常に機能していなかった。どうしてもこの事ばかりが目だってしまうのは仕方なかっただろう。福岡サポとしてはフェルナンドやマスロバル級の攻撃力を期待していたようで当初の彼は決して評価が高いとは言えなかった。 しかし、筆者は一緒に見に来ていた友人に一言告げた。 「もし、監督が我慢して使い続けて周りとの息が合ってきたら彼の守備力は必ず生きるでしょう。あの状況であのポジションでつぶせるボランチはそうそういない。個人的にはすごくいい外国人だと思います。」 ☆ それにしても世の中はうまく行かないもので、当たらなくてもいい、いやむしろ当たって欲しくない予感は得てして当たるものである。福岡の失点の少なさはホベルトが支えていると言っても過言ではない。 ◆ その他雑感 福岡に同点に追いつかれた時間帯。相手のペースになってから我慢できずにゴールを奪われることは過去に何度も見てきた。ボールを奪えないわけではない。奪っても前線へのパスミスや、キープミスという自滅で相手の攻撃の波を止める事ができないのだ。いかに我慢できるか。これが失点を減らす道につながる。 下司の動きの鋭さは素晴らしかった。シュートの正確さが増してきているとは聞いていたが、それ以上にゴール前での常にスペースを見つけて動き続ける走りはあの時間帯での登場であったので相手DFはすごく嫌だっただろう。ペナルティエリア内でボールを受けて相手を交わした瞬間は夢を見た。残念ながらシュートを打つタイミングがとれなかったが、このままいけばゴールが生まれるのも時間の問題かもしれない。次節は新居が出場停止なので期待は増すばかりである。 ところで、徳島に遠征に行った3月に下司の父親から"いよかん"をいただいた。先日鳥栖スタジアムで偶然お会いして直接お礼を言えてよかった。この場を借りて再度お礼を。大変ありがとうございました。 ビジュは怪我が完全に癒えて覚醒したか。ヘディングでかぶったりするのはご愛嬌としても、思いがけないところから走ってやってくるカバーリングと身長の低さを感じさせない高さのあるヘディング。抜かれたと思っても一瞬にして追いつくスピード。そして一対一の強さ。スポーツに"たられば"は禁物であるが、あの開幕前の練習試合での肉離れがなかったら。ゴールのアシストも彼の身体能力の高さが生んだ得点であった。 小井手は奈良崎からポジションを奪ったと言ってもいいのではないか。ゴールへ向かっての勝負が出来るようになってきたと思う。クロスの精度が悪いのはあいかわらずであるが、成長が見込めるだけにもう少し彼のサイドバックを見てみたい。 最後に、高地の怪我は痛すぎるが全員でカバーして戦うしかない。 まだまだ2位、3位争いをあきらめているわけではない。昨年の大宮は第4クールで負けていない。この団子状態で鳥栖が同じように負けない試合ができたら。可能性はまだまだあると信じている。 |