Jリーグ Division2 2005シーズン

  第36節 サガン鳥栖 4 - 1 ザスパ草津

2005/10/21

仙台、京都と強豪チームに連勝して第4クールをいい形で再スタートしたサガン鳥栖。いままで何度も3位以内の順位が幻になろうとしていたのだが、またもやがけっぷちで連勝して何とか再び上が見える所まで持ち返してきた。松本監督が勝負は第4クールと前々から言ってきた事が現実となりつつあるこの連勝劇。その状態とは裏腹に左サイドバックで補強した立石の怪我でまたもや大事な戦力を失った状態で望んだザスパ草津戦。勝敗の流れが変わったのは浜田のフリーキック弾であった。

◆ ボランチの縦の関係

試合はまさにまったりと入ってまったりと経過していったと言ってもいいだろう。草津の3バックの両サイドにスペースがあってそこを使おうとするものの、引き気味の草津はすぐに押さえにきて完全に崩すまでには至らない。ついついロングボールが多くなってしまうが、その精度もままならず一進一退というよりはお互いに決めてのない消極戦というような戦いっぷりであった。

前回のホームの仙台戦ではボランチの井手口と矢野にバロンへのくさびのボールをつぶすように指示がでて、忠実にその指示を実践していた。ボールを奪う位置が高いところで奪えたというのと、相手が出てこようとするところで奪えたので逆にこちらがFWへボールを配給するのに手数をかけずに攻めることができた。しかしながら、草津戦ではボールを奪う位置がやや低かったことに加えて草津自体が前がかりではなかったためにボールをFWへ入れるとすぐにプレッシャーが来ていた。前半の苦戦は仙台戦とは逆にトップ下の選手がいないことがこの停滞を招いていたと思う。

しかしながら、後半になるとボールがまわりだし、裏へのロングボールも通るようになってきた。草津が負けていて前がかりになった点と、システムを変えて中盤のプレッシャーが減ったというのが影響しているもののやはりボールを奪って前目でボールを受けることができる高林の存在は大きかったように思える。後ろで矢野が横に裁き、前で高林が前に裁く。高林が前で受けてくれることによって、それに伴い後ろの矢野はプレッシャーがない状態でボールを受けることができ、ここ最近見せてくれる大きな展開もでてくるだろう。特に仙台戦に見せてくれた左足での大きなサイドチェンジには身を震わせるほどであった。(これまでの彼からは見られないくらいのパスだったからというのもある(笑))

守備時にはしっかりと後ろに2人でポジションをとり、攻撃になれば縦の関係になれるダブルボランチは中盤がボックス体系になっている状態では非常に効果的に機能する。現在最強ダブルボランチとの名高いのはユベントスのビエラとエメルソン。日本のチームで例を挙げると、最強のダブルボランチはサンパイオと山口を推したい。その他には古くは福岡のバデアと野田。もしくは名古屋のデュリックスと浅野とか(←ネットでたまたま発見(笑))でも一番好きだったのはフランスワールドカップの時のオランダ代表、ダービッツとセードルフかな…と語りだしたらキリがないダブルボランチの組み合わせだが攻守のバランスというのは非常に大事である。

◆ 華麗なるダイアゴナルラン

※ 図は『SKY PerfecTV! (2005/36節 サガン鳥栖 VS ザスパ草津)』より引用

図は前半28分のシーン。義希の運動量とポジショニングセンスのよさが発揮されたシーンである。右サイドでボールを受けて前を向いてFWへさばく。その瞬間に左サイド前方の大きなスペースを見つけてそこへ向かってダッシュを始める。ちなみにダイアゴナルランとはそのまま訳すると"斜め走り"。よほどボランチ等が密着マンマークについていない限りは斜めに走ることによって相手のマークをつけにくくする事が可能である。

義希はボールをさばきながらスペースを見つけ次に自分がボールを受けるイメージを描いていたのであろう。また、そのスペースを見つけて走り出した義希をフォローするべく左サイドバックの加藤も上がっていく。ボール自体が右サイドにあるのでなかなか上がりずらいだろうが、ボールが来るということを信じて同様に左サイドのスペースを使いに行く。実際このあとは二人で起点を作ってクロスを上げるところまで攻める事ができた。おしくもキーパーにキャッチされてしまったが、草津がその後にサイドのスペースをケアするべく全体のラインが下がり出すには効果的な攻めだったと思う。

◆ 華麗なるダイアゴナルランVol.2

※ 図は『SKY PerfecTV! (2005/36節 サガン鳥栖 VS ザスパ草津)』より引用

図は新居が決めた3点目のシーン。濱田がボールを受けて前を向いた瞬間に新居は斜め前方に見えるスペースへ向けてダイアゴナルランニングを始める。濱田は新居が飛び出すのを感じて新居の走る方向へスルーパス。このときの草津のディフェンスラインを見ていただきたい。センターバックと右サイドバックの選手は新居が飛び出しに来ているのを感じているため、あえてラインを高く保ってオフサイドを狙っている。しかしながら、自らのマークの責任で裏を取られることを恐れたチカは1人だけラインを乱して新居についていってしまう。彼が原因でオフサイドがとれなかった事によって、新居のドリブル突破を許しそのまま得点につながってしまう。チカはラインチャレンジではなく、リトリートする事によってマークすることを判断したのならば、何が何でも新居を止めなければならなかったのだが、新居のスピードの方が一枚も二枚も上手であった。草津にとっては非常に惜しまれるシーンであろう。

草津は後半に攻めるためにシステムを急造で変更した事が裏目になってしまった形だ。ここでも新居のダイアゴナルランによって相手のマークを撹乱する事に成功している。スペースを見つけてそこを常に狙っていく動きを怠らなければ優秀なパサー次第でこのようなビッグチャンスは簡単に訪れるという事だ。

◆ 濱田のフリーキック

新居のゴールとは前後するが、濱田のフリーキックは圧巻であった。ちょうどゴール裏の正面の位置でみていたのだが、濱田が蹴った瞬間に筆者が思った事は

「うわっ。。。はずした。。。」

であった(笑)それがまさかあのようなきれいな弧を描いてゴールにつきささろうとは。久しぶりに非常に美しいフリーキックを見ることが出来てこれだけでもお金を払って試合を見に来た価値があるというゴールだった。試合中でも段々とパスも回ってくるようになりチームになじんできた"恥ずかしがりや"濱田の今後の活躍が非常に楽しみである。

さて、次節はダービー。おそらくではあるが、今年で福岡とのJ2でのダービーは最後になるであろう。J2最後のダービーを鮮やかな勝利で勝ち取り、来シーズンからは舞台をJ1へ移してのダービーを是非とも開催しようではないか。