Jリーグ Division2 2005シーズン

  第39節 サガン鳥栖 3 - 3 徳島ヴォルティス

2005/11/12

福岡戦、甲府戦、大事な試合を落とし、昇格圏内に入ることが極めて困難になり意気消沈気味のサガン鳥栖。このような状況では先日語ったトニーニョ・セレーゾの言葉が胸を叩く。

「長年サッカー選手として現役でやってきたが、自分にはモチベーションが必要だという状況はなかった。モチベーションとは自分の中に出すもので、外部から与えられるものではない。」 

ファンのために、スタッフのために、そして何よりも自分自身の未来のために。選手達よ、尽くしてみないか全力を。

◆ 祝 新居ハットトリック

新居のハットトリックは非常に素晴らしかった。新居の動き出しのよさとスピードが最大限に生かされた得点であり、これまでのサガン鳥栖というチームにはなかなか見られなかったスピードのある電光石火の得点であった。しかしながら、この3点(PKを取得するファールを含む)で新居が単独でドリブル突破してとった得点や遠い位置からミドルシュートを突き刺したような得点はあっただろうか?否、その得点のすべてがパスの力。1点目は濱田のパス。2点目は矢野のパス。3点目はファールを受けた新居へは高地のパス。すべてパスからの得点である。ハットトリックはもちろん新居個人の得点力でもあるのだが、そこへ行きつく課程は新居のみの力ではなく、新居の動きを理解してきた回りの力が大きいと感じる。まあ、今年も既に終盤でありそこにたどり着くまでに多少時間を要しすぎたのだが(笑)FWは最後に得点を決める事が仕事。そのお膳立てをするのはMFであり、そしてDFである。もちろん新居の動き出しがよかったのもあるが、このハットトリックはチーム全体が作り出したものと言っても過言ではない。

今回の画像は新居の3点のパスの出所をそれぞれピックアップしている。

※ 図は『SKY PerfecTV! (2005/39節 サガン鳥栖 VS 徳島ヴォルティス)』より引用

この得点を逆の立場で見てみると徳島DFは明らかに裏を取られすぎ。得点シーン以外でも簡単に飛び出しを許してしまうシーンがあり、ディフェンスラインのコントロールとボールが出たときのマーキングに問題がある印象を受けた。徳島サポーターとしては鳥栖の攻撃に対して対策を練ることができなかった事に非常に不満が残ったのではないか。

さて、そのハットトリックを決めた新居がラジオ番組(FM佐賀)にでてハットトリックについてインタビューを受けていたので簡単にご紹介したい。

 
  ・ 1点目について

 「濱田からは練習の時でもいつもいいパスが来るので、このときも来ると思っていました。入ってよかったです」

 ・ 2点目について

 「矢野からはいいボールが全然来たことないので、いいボールが来てよかったです(笑)いつも無駄走りに終わってしまいますから。」

 ・ 3点目について 

 「キーパーが右か左かどっちかに飛ぶだろうから真ん中に蹴ったら入るだろうと思って蹴りました。」

※ 『2005/11/11 FM佐賀放送 木原慶吾 Friday Afternoon Talkin' Radio』より引用

特に矢野に対するコメントは実に茶目っ気たっぷりの新居であった。

もうひとつ、この試合で高地が本格的に復帰したのだが、1点目の起点となるFWの鈴木師匠に対するくさびの長いボールと3点目の起点となる新居に渡るパスは高地であった。上下運動を繰り返して前線にもよく顔をだし、左右のポジションチェンジもこなして怪我明けとは思えない縦横無尽の運動量のあるプレーを見せてくれた。やはり左サイドバックは彼以外にレギュラーは考えれない。

◆ 羽地のポストプレイ力に屈する

※ 図は『SKY PerfecTV! (2005/39節 サガン鳥栖 VS 徳島ヴォルティス)』より引用

サガン鳥栖に現在明らかに不足しているプレイ。それは高い位置での屈強なFWによるポストプレイ。サガン鳥栖が欲しいプレイを徳島のFWである羽地が鮮やかに見せ付けてそしてすべてを得点に絡ませるという悔しいプレイを見せつけられた。図は新居と同じく3点に絡んだ羽地のポストプレイをそれぞれの失点シーンでピックアップしている。

1点目は羽地がこの位置で浮き玉の縦パスを見事に胸トラップからコントロール。ふりむいてシュートを放ちコーナーキックを得てからそのコーナーキックで得点を自ら決めた。

2点目は小峯からの素晴らしいフィードを、引いてきた羽地が右足でダイレクトで流して右サイドの小林へスルーパス。これ以上ないスピードとコントロールのポストプレイで小林はシュート練習の如くネットに突き刺す。

3点目はこの位置で飯尾を背負ってポストプレイ。右サイドに流した後のクロスの処理にもたつきオウンゴールを献上してしまった。

この試合のビデオを持っている方は前半の徳島と後半の徳島を見比べていただければ分かると思うが、明らかに羽地の高い位置でのポストプレイの回数が違っている。もちろん、ビジュが退場して1人少ないというのも大きかったが、後半は高い位置で羽地にキープされていたために徳島が攻撃に厚みを増すことができていた。ペナルティエリア内でキープされていた場面もあり、鳥栖としてはボールの出所かもしくはボールが羽地に入ったところでつぶすことができなかったかと悔やまれる。また、片岡が試合途中からフレッシュな状態で入ってきて自由に動かれて抑えきることができなかった。1人少ない状態であったので引き分けでよかったと思いたいのだが、なかなかそう思う事ができないゲームであった。

ゴールキーパー、そしてディフェンス陣。新居のハットトリックを守れなかったことは相当に悔しかっただろう。それぞれにミスがありそれぞれに反省材料は多々あったと思う。同じ過ちは繰り返さない努力。湘南相手に勝てないという同じ過ちを次の節で是非とも打破して欲しいところである。