Jリーグ Division2 2006シーズン

  TM アビスパ福岡 0 - 0 サガン鳥栖

2006/2/23

ふと思い立って先月の給料明細を確認してみた。何と有給休暇はあと31日も残っているではないか!ワーカホリックもほどほどにしないと体に悪い(笑)ということで、普段は義務をまったく果たしていないのだが、こう言うときは労働者の権利を主張して有給休暇を取得。雁ノ巣で行われたサガン鳥栖とアビスパ福岡サテライトの練習試合を見学に行ってきた。

◆ 指揮官は岸野コーチ

雁ノ巣は簡易的なスタンドがあるだけでピッチの目の前で試合を観戦することができる。鳥栖のベンチの近くに座っていたので試合前、そして試合中のコーチングがよく聞こえる位置で試合を観戦することができた。この試合で実質的に指揮を振るったのは岸野コーチ。それにしてもよく通る声で、幾度も幾度も指示がでてくる。そしてもちろん凡プレーに対するぼやきも(笑)岸野コーチが言っていた言葉を一部始終載せるのはさすがに気が引けるのでいくつかキーワードのみを列記したい。戦術的な事(FWの動き方や、つめられたときのボールの蹴る方向(走る方向))を削っていきながらあれもダメ、これもダメとしぼっていったら結局当たり前の内容ばかりになってしまった(笑)

 
 岸野コーチ 「ボールを奪ったら早めにつなごう。ポジションも早めにとる。とにかく早めに動いて、早めにつないで、早めにもらって、蹴らずにボールをつないでいこう。」

 岸野コーチ 「不用意なミスで自分達から攻められるような状況を作るのはやめよう」

 岸野コーチ 「熱い気持ちを持って戦うこと。気持ちをしっかりもって行こう!」

 

最後の言葉は実に岸野コーチらしいではないか。他に出ていた指示も含めて全般的にはとにかく早めに動いてボールを失わない戦い方で主導権を握ること。練習試合だからと言って戦術の確認のみならず、試合中のコーチングや悔しさっぷりも含めてこの試合は『勝ち』を意識して戦っていたという事ははっきりと理解できた。

◆ シュートまでの組み立て

何回もシュートシーンにおいて惜しい場面があったのだが、その中でもなかなか目を見張る攻撃であったのを2パターン程紹介する。

一つ目のシーンはMFが起点。FWの選手へくさびをいれ、その隙をぬって左サイドバックがオーバーラップ。うまくはたいてサイドバックへボールを預けると相手選手をひきつけて中央へとしぼってきたFWへグランダーのパス。トラップの後うまく反転してシュートしたが残念ながらボールはバーを超えてしまった。

二つ目のシーンは左サイドバックが起点。サイドチェンジを繰り返して行く中で突如として攻撃がトップギアに入る。左に張っていた中盤の選手へはたいてそのまま回り込もうとする動きを見せるが中盤の選手は素早くFWの選手へ。FWの選手が中央の選手へうまくはたいてシュートまで呼び込むがこれも惜しくもバーの上。

このように、今回もFWの選手をポストとして利用する形が多くみえた。これについては次の項で。

◆ ガンバ大阪戦との比較

さて、筆者はガンバ大阪との練習試合において今年のサガン鳥栖の4つのポイントを上げていた。その戦い方と完成度がどのくらい変わったのかを確認したかったのだが相手が4バックのアビスパであったので非常に良い比較になった。では、前回見たときとの戦い方を比較してみよう。

1.ポストプレーについて

ポストプレーに関しては前回とイメージはそう変わらない。ワンタッチによるリターンに関しては前回よりも減っていたものの、攻撃においては一度相手をひきつけるアクセントとしてFWを使いたいという形は変わらなかったように感じた。そのためにもFWの選手のプレー精度が大きく関わるのだが、ここは筆者も好きな選手であるし、今年1年はゲームを作れる選手としても頑張って欲しいのでこの指示に対してはあえて実名を出させていただこう。ポストプレーをミスした鈴木師匠に対して両御大の大きな声が。

 
 松本監督 「おい!孝明!それがフォワードの仕事だろうが!」

 岸野コーチ 「おい!孝明!相手が受けやすいボールを出してやれ!」
 

これ以上ミスが多かったら松本監督から釜本のポストプレーは云々という愚痴る声が出そうな勢いであった(笑)

2.サイドからのクロスについて

サイドからのクロスはこの日は激減。というのも、先日のガンバ戦は3バックであったために両サイドに比較的スペースがあったのだがこの日の福岡は4バックであったために、サイドを深くえぐるように崩せたのは少し少なくなってしまった。しかしながら、前回と違ってくさびが中央に入りやすい状態であったために中央でのつなぎがやや多く、シュートシーンまで持ち込んだのは中央でのつなぎが多かった。当たり前であるが相手の守備陣系によって戦い方は大きく変わる。

サイドからのクロスと言えば、この日は両サイドバックに対しての指示が多数。守備に対する修正と言うよりは、スペースを見つけたときの上がり方、そしてボールをまわしているときにサイドのハーフに対するフォローの遅れを指摘する怒声が響き渡っていた。そのかわり、いい上がりから素晴らしいクロスを上げた選手には手放しの褒めよう。ここまでの飴と鞭は実生活ではなかなか見ることが出来ないので是非とも皆様も足を運んでみて欲しい(笑)

3.DFラインの上げ下げについて

このラインの上下についてもガンバ戦に比べるとあまり動きはなかった。この日の福岡は前線に川島、後半からは川島と林のツインタワーツートップ。裏を抜けると言うパスよりもくさびのパスとサイドからの展開が多かったのでオフサイドを無理してとる必要はない。ガンバ戦はマグノアウベスや幡戸がFWであったために裏へ抜けられるのを注意する必要があった。その違いがこのラインの上下動の違いを生んだのは間違いないだろう。当たり前であるが相手の攻撃体系によって戦い方は大きく変わる(笑)

4.フラットな中盤について

フラットな中盤であるという印象は前回のガンバ戦の通り。ある程度の前目、後目という決まりはあるものの、昨年のように宮原はトップ下というような完全な決め方でなく、それぞれが攻撃に、守備に、組み立てに、カバーリングに走っていたと思う。この中でも松本監督がしきりに褒めていたのは義希のプレー。義希は前回も述べたとおりボランチ的な動きをすることが多かったが、ボールの奪い方、クリアに入るタイミング、上がっていったDFに対するカバーリング、そしてFWへくさびを入れるパス。攻守の様々な場面で松本監督の賞賛を受けていた。今年の使われ方はこういった攻守の要としての動きを要求しているのかもしれない。

また、様々な場面において義希に指示を出させるのを監督やコーチがしきりに叫んでいらっしゃった。周りの動き方の指示、そしてチーム全体の鼓舞、義希を名指してお前がチームを動かせと。シャイな彼であるがキャプテンとしての仕事がまっとうできたときには一段と大きいプレーヤーになることは間違いない。今年は義希にとっては飛躍の年になる(はずの)大事な年である。

◆ 勝算

開幕戦を勝利できる可能性は大いにある!

とだけを告げておこう。昨年見たときよりもチームとしての技術や完成度はかなり上であるように思える。もちろん、コンサドーレ札幌の今期の戦い方や調子に関するデータはほとんどない。それどころかネット上を徘徊してみても練習試合でJ1相手にもかなりいい成績を残しているような記事ばかりだ。それだからこそ開幕戦の札幌戦で勝利をあげたときには、若い彼らであるためにその後を自信を持って戦い、開幕ダッシュとして波に乗ることは十分に考えられる。48節の中の1試合であるかもしれないが、今年のサガン鳥栖を占う大事な一戦となるいきなりのキーポイントゲームである。