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Jリーグ Division2 2006シーズン
第1節 サガン鳥栖 1 - 3 ヴィッセル神戸 2006/3/22 スタートダッシュに失敗してしまったサガン鳥栖。前評判もよく、サポーターの期待も大きかっただけに3戦目までにはしっかりと勝ち点3を奪って欲しかったところだが、お家騒動中の横浜FCにスコアレスドロー。おもいがけず未勝利のままホームでJ1からの降格してきた強豪ヴィッセル神戸との戦いだったが…。心技体、今後に光明を見出せるものが何もないまま試合は終わってしまった。今回は筆者的には非常に疑問が残る点が多い試合であった。 ◆ 3トップのプレスに屈する 同じホームでの試合においても神戸戦を見て札幌戦とまったく違った印象を持たれた方も多かったのではなかろうか。前線までボールが行かず、シュートチャンスもなければクロスも上がらない。なぜそのような事態に陥ってしまったのか。試合中にも薄々感じていたのだが、改めてビデオを見てみると開幕戦よりも攻め急ぐあまりに前線と最終ラインの間があまりにも開きすぎているのが分かる。そこへヴィッセルのプレスが効果的にはまって鳥栖の中盤にまったく仕事をさせなかった。図を見ていただきたい。 ※ 図は『SKY PerfecTV! (2006/3節 サガン鳥栖 VS ヴィッセル神戸)』より引用
この試合では中盤のバランスが非常に悪かった。図の場面は特にカウンターのように急ぐ場面ではなく、ファウルの後のフリーキックが左サイドから始まりセンターバックを経由して右サイドへボールが渡ってきた場面である。衛藤がボールを持って前を向いたときに右サイドハーフがいるべきエリア、ともすればフォワードがボールを受けてもいいようなエリアに誰一人として選手がいない。ペナルティエリア近くにいる選手に対してハーフラインを少し超えた所でさえ選手が顔を出してくれないのだ。これでは縦へのボールを入れることもままならないし、たとえ入れたとしてもその選手へフォローへ行くのが遅れてしまう。サイドの攻撃においてあまりにも味方同士の距離感が離れすぎていたのだ。 センターバックに返しても神戸が押し上げてプレスが入るので、衛藤は一旦義希に預けるがそこも神戸の選手のプレスが待ち構えている場所。図1の段階で既に義希の回りには神戸の選手が4人いるだけでサガン鳥栖の選手は誰一人としていない。このように中盤でボールをつながなければならない場面であまりにもバランスが悪すぎてつなごうにもつなげられない状態が続く。 予想されていた結果だが、このパスの後は義希はあっというまに4人に囲まれてボールを奪われ、三浦のミドルシュートという結果を迎えてしまう。ゴールを奪われるという最悪の状態はなんとか回避することができたが、そういう状況になってもおかしくないような場面であった。
この図は上の図では映ってなかった前線の様子。前線に3人とも張り付いてしまって同じように吉田もボールをだすところがない。この場面では、義希に出すと先ほどのような場面の繰り返しとなってしまうのでセンターバックにボールを戻すがそこへもプレスを受けてしまってルーズボールになってしまう。 ◆ 選手起用・選手交代、その意図とは? さて、上記の図と同じ場面を幾度も迎えたとしよう。サイドバックは神戸のプレスが早いために同じ過ちを繰り返さないためには義希にボールを預ける事はできない。センターバックに戻すこともしかり。そうすれば選択肢は一つしかない。それは前線へのロングボール。果たしてそのロングボールを競るだけの能力がサガン鳥栖の前線に備わっていたのであろうか? 答えは否という他には何もない。ヴィッセル神戸の4バックは4人共に屈強なセンターバックタイプが並んでいる。特にセンターの北本と柳川の高さは言うまでもなく、丹羽と坪内も真ん中で守っていたとしても何の遜色もない。そういった聳え立つ壁に単純にボールを放り込んでも新居と日高が競り勝つ勝率は限りなく低い。 この試合では前線に鈴木師匠でもなく、藤田でもない、同じようなタイプと思われる日高と新居を並べてきたサガン鳥栖であったが、結果からいくとまったくと言っていいほどに機能していなかった。日高にとってはデビュー戦で酷な結果になってしまったが、ここで一つ疑問が。監督とコーチは日高に対して何を要求していたのか?どういった役割を求められてピッチに送りだされたのか?この疑問の答えがまったく見えない結果に終わってしまったのもまた事実である。ポストを期待していたのか、裏へ飛び出す動きだったのか、前線からのプレスなのか、運動量で相手をかきまわすのか、引いてボールを受けるつなぎ役だったのか、ゴール前に張ってストライカーの動きをしたかったのか。彼の動きが非常に中途半端で見ていてもったいないような気がしていた。 そして、筆者が一番疑問だったのはハーフタイムに行われた義希と蒲原の交代。同点といえども、押されていた展開だったのでドリブラーを入れて攻撃的に行きたい気持ちは分かる。しかしながら、前半で抱えていた問題はユンと義希からの出すべきパスの相手がいなかったこと。著しくバランスを欠いていた中盤の修正をかけることが先決だったのではないか。 何よりも後半開始当初の中盤は蒲原、山城、ユン、山口。果たしてこのメンバーの中でリスクマネージメントをとる選手は一体誰が担うのだろう?ユンと山口にサイドバックのカバーリングを要求する?いや、それはありえない。得点が欲しい状況でユンは前線へのつなぎとラストパス。山口はペナルティエリア内に飛び込んだり、サイドに開いてクロスボールをあげる。とすると、一体中盤の守備は誰が?? ◆ 攻撃的サイドハーフ、サイドバックを支える黒子の存在 サイドバックの配置も極端であるが2通り考えられる。センターバックタイプを並べて後ろの守備を強化するか、はたまた攻撃力のある選手を配置してサイドアタックの一翼を担うか。サガン鳥栖のサイドバックは攻撃的な役割を担う選手が多いのだが、攻撃は最大の防御と言えども攻撃に上がった瞬間には一瞬その背後にスペースという相手にとっての攻めどころが生まれる。これは耳にたこができるほどに何回も繰り返された言葉だ。 そうすると、そのスペースを埋めるためにはどうすればいいのかというと、それは気づいた他の選手が効果的に埋めていくしか他にない。他の4バックのチームを見てみると中盤の底には必ずと言っていいほどに守備に"気の利く"選手が必ず後ろで控えている。そういったチームの中でのバランスがなりたってこそ、的確な位置でボールが奪えて素早い攻撃につなげることができるのだ。 特に今年、筆者がバランスがよくなったと思うのはガンバ大阪。明神と橋本が後ろで控えているからこそ、両サイドバックの加地、家永という双方の矢が前線へ顔を出すことができる。他にもアレックス、中村北斗の攻撃を裏で支えている福岡のホベルト、言うまでもなく運動量と一人プレスが身上のFC東京の今野、ラフプレイばかりが目に映るが意外につぶすべきところは心得ている広島の戸田、そして新潟の本間も今度じっくりと見てみたい選手である。 サガン鳥栖が昨年調子が良かった時期には中盤の底にイイヲ様が光臨していたのも偶然の結果ではないと思う。怪我人ばかりで思うような配置が組めないかもしれないのだが、もう一度中盤の構成を見直してもいいのではないか? ◆ 個人の力の差 監督や選手達は口々に個人の力の差は感じられなかったと言っているが、やはりその差は大きかったように思える。ディフェンスラインだけを見てもフィジカルの差は確実にあったし、中盤の選手がトラップをしてからのボールの動かし方にも差はあった。近藤にいたってはあの破壊力はFC東京で見たプレイとそのままのプレイを鳥栖スタジアムで披露されてしまった。近藤程の破壊力を持った選手が現在のサガン鳥栖にいるだろうか?そして三浦淳のようにチーム全体を落ち着かせるプレーヤーはプレー面だけでなく神戸にとっては貴重な存在だ。 しかしながら、個人の力の差があるからそのまま負けてしまうわけではないのがサッカーというスポーツのおもしろさ。もう一度組織の力で立ち向かうサガン鳥栖が見たい。草津戦にどのようなサッカーを見せてくれるのかが楽しみだ。 ◆ PS. ユンジョンファンの素早いリスタートは成功した試しがない。それどころか彼のあせったパスミスから逆にリズムを崩してしまうこともしばしば。早いリスタートに関しては練習でためしているのだろうか?それとも監督の方から指示がでているのだろうか?あれだけ何度も失敗しているのを見ると受け手が悪いのか、出し手が悪いのかさえ見えてこない。そういったことの約束事がされていない、お互いの確認ができていない事。つまりコミュニケーションが取れていないことも現在サガン鳥栖が低迷している原因のひとつではなかろうか? 今回のレポートは疑問ばかりで終わってしまったが、その疑問を解決してくれるのは他ならずサガン鳥栖の戦いっぷりに違いにない。 |