Jリーグ Division2 2006シーズン

  第5節 サガン鳥栖 2 - 1 ザスパ草津

2005/3/31

勝った。勝った。勝った。初勝利を手に入れるまでここまでかかるとは果たしてどれだけのサガンサポータが思っていただろうか?前評判と開幕戦の札幌戦の戦いっぷりを見る限りではそう遠くない日だとは思っていたが思いのほかチームはかみ合わず。生みの苦しみという言葉があるが、初勝利の生みが苦しかった分を今シーズンの礎としてほしい。そのためにも草津戦は会心のできではなかった事を心得て日々の練習を精進していただきたいところだ。

◆ ルーズな中盤

先制点は高地の個人技と言ってもいいだろう。高地が交わしてパスを出した瞬間に新居の初ゴールを確信。しかし残念なのはそれからの戦いだ。この試合はなぜか中盤がルーズになるタイミングがあってボールに対するプレッシャーがぽっかりなくなってしまうときがあった。矢野が草津の10番である島田を意識した位置取りをしていたのでその段階で中盤の選手を島田に一人持っていかれることになってしまうがそのせいだったのか?

こういった状況で濱田とユンジョンファン、そして義希がプレッシャーに行くのだが、選手の寄せが早くてしっかりとボールを奪ったと思うときもあれば、フォワードの動きとディフェンスの動きが中盤と離れすぎて連動できずに中盤を大きくあけたままの奔走になってしまうシーンも。どうにもこうにも調子が一定でない事があり後半になるとプレスが効く時と効かない時の差が顕著にでてしまう。プレスが効かないときにつながれるとたちまちピンチを迎えてしまっていて、特に終盤間近ではサイドの攻防で数的不利を迎えることもあり、1点勝っているチームとは思えないような守備があったことは残念だ。

※ 図は『SKY PerfecTV! (2006/4節 サガン鳥栖 VS ザスパ草津)』より引用

図はプレスがなくて得点を取られたシーン。ボールの出所に対してまったくノープレッシャーにしてしまう。それならば飛び出す選手に対してしっかりとマークにつけばいいのだが、ディフェンスラインが中途半端に押し上げたために高田に簡単に裏を取られてしまうことに。ここはプレスをかけつつディフェンスラインをチャレンジするか、建て直しのために相手に持たせつつ全体をリトリートするかの選択であったろうと思われるが、非常に中途半端でもったいないシーンであった。

松本監督は藤田がキープできなかった事を失点の要因のひとつに上げていらっしゃったが、藤田がボールを奪われたのは草津陣地の中間くらいまで入っていたところ。自陣で奪われたわけではないので失点の要因にするのはやや酷かと。これはどう考えても中盤とディフェンスラインのミスだと思われるが果たして。

◆ 藤田の可能性

前半11分頃に見せた藤田のワンタッチポストプレイも見事であったし、前半41分頃に右サイドの義希へだしたポストも見事であった。しかし、筆者が注目したいのは前半36分のプレイ。ゴール前で藤田が見事なポストプレイを行ってワンタッチプレイによるチャンスをひきだした。

※ 図は『SKY PerfecTV! (2006/4節 サガン鳥栖 VS ザスパ草津)』より引用

長谷川がユンからのサイドチェンジを受けて、ちょっと相手選手に奪われかけるが中央へと切り込む。するとそこへ待ち構えていたのは相手を背負った藤田。サガン鳥栖に足りなかったのはペナルティエリア付近の中央でボールがおさまることのできる選手だったのだが、藤田が見事にその役目を担う。藤田はダイレクトで濱田に渡してその後もダイレクトプレイが続くものの残念ながらシュートまでは行かず。この位置でボールの受け手となれる選手がいるのは二列目から飛び込んで来てドリブルができる選手がいるサガン鳥栖としては非常に心強い。ペナルティエリアの前でマイナスのボールを受けることでミドルシュートの選択肢もあるし、ドリブルで切り裂くこともできる。開幕前から言っているが、藤田の存在というのが今後のサガン鳥栖の戦いにおいて大きな役割を担うかもしれないと思っている。

鈴木のプレイエリアと藤田のプレイエリア

図は新居のパートナーとなるべき2人のフォワードの違い。ここまで何試合も見たわけではないのだが、黄色で書いた藤田のプレイエリアは中央のことが多く、多少横へと動きながらマイナスのボールを送ったり、サイドへ開くボールを送ったり。完全にポストプレイヤーとして確立されている動きをみせるが、問題はボールをはたいたあとにいかにゴールへ向かって絡む事ができるか。単純にクロスがあがってこなかったのでシュートチャンスがなかったかもしれないが、ゴールという重要な仕事に絡むシーンが見られない。回りが藤田の動きを理解してくればそれらも引き出せるかもしれないが。

鈴木は水色の図で示している。鈴木は中央でボールを受けるよりもスペースを見つけてやや開いていく傾向にある。彼は守備力も含めて運動量があるのでボールを受ける場所を求めてスペースへ動いていく。昨年のサガン鳥栖がサイド攻撃が顕著であったのは起点となるFW選手がサイドに開く傾向にあったことも影響していると思う。ここから鈴木が縦へぬける選手へパスを出すこともあったし、中央へドリブルを開始して素晴らしいミドルを決めることもあった。鈴木のいいところはボールを受けて前をしっかりと向けるところにあると思う。前を向くからこそ、その後の攻撃の選択肢が増えてサイドの基点となりえるのだ。

先日の草津戦ではサイド攻撃がややなりを潜めた感があったが、起点となるべき藤田が中央へポジショニングを取っていることが多かったからに思われる。藤田がもっとキープできて信頼を得ればまたサイドのスペースを使った大きな展開を交える攻撃も見られるとは思う。

◆ ユジンの跳ね返し

ユジンの跳ね返しに関しては非常に計算できるものとなっている。相手が放り込む長いボールを的確なポジショニングでしっかりとしたヘディングで跳ね返す。しかし惜しむらくはサガン鳥栖がその跳ね返しのボールをフィフティフィフティ以上の確率で拾えていない。もっとユジンを信頼して彼のヘディングの正面(もしくは予想できる位置)でFWもしくはMFがボールを待ち構える事ができればチャンスの数が増えるのは間違いないと思うのだが。極端に言えば、相手のロングボールがこちらの攻撃の拠点となりえるくらいのセカンドボール奪取率を誇ってほしいものだ。ユジンのヘッドはそれほど信頼できるものになりつつある。

初勝利を上げた後に苦手な苦手な湘南戦が控えている。ここは新生サガン鳥栖として生まれ変わったことを示すためにも是非とも数年ぶりの勝利を挙げてほしいところだ。