Jリーグ Division2 2006シーズン

  第27節 横浜FC 1 - 0 サガン鳥栖

2005/7/16

筆者の東京出張の日に平日開催のサガン鳥栖の試合が横浜で行われるという偶然が重なったことによって観戦できた横浜FC戦。関東でのアウェーは初めての観戦であったので心躍る気持ちで三ツ沢球技場についたのだが、目の前に見せられた試合は、こういう言葉を言うには非常に悔しいがこれまで2位の座を死守しているチームと勝ちきれないチームの差であったと思う。

◆ 連動できない前線、それにつきる試合

思わぬ観戦であったので録画の準備ができておらず、お手製の図による解析。

横浜FC、サガン鳥栖ともに最終ラインがいわゆるドン引き状態といわれるような守備を重視した形ではなかった。ある程度中盤との距離をコンパクトに守って中盤でのボールの奪い合いを主戦場とし、その戦いに勝った方が攻めの主導権を握る。そういった形だったように思えるが、この戦いを繰り返していくうちに段々とボールポゼションは鳥栖の方に軍配が上がってきた。こぼれ玉を拾うシーンも横浜FCの山口素に負けずとも劣らない動きを見せていた。しかしながら、ボールは奪ってつなぐものの、なかなか最後の場面でラストパスが出せず、決定的なシュートが打てない。こういったもどかしい展開のまま後半終盤まで過ぎていった。

また、この試合では廣瀬と宮原が山城と濱田に変わって入った。元々同じタイプ同士の交代であったので影響の程は最低限程度かと思っていたがチームの中での役割が同じとはいえなかなかフィットしていたとは言いがたかった。島原でのリーグ戦でも書いたように宮原が生きる場所にいなかった、宮原が生きる動きを回りがしなかったというのもあるが、宮原自体の動きに全体がついていってない印象があった。いや宮原だけではない。新居、鈴木、それぞれが考えてチャンスを作ろうとスペースを作る動きをするが回りがその動きを理解していないのかまったくついていけなかったのだ。

図は試合中の1シーンである。宮原がボールのないところで(珍しくw)いい動きをしたシーンである。宮原が中盤でボールに絡むことなく左サイドでボールが動いていたときの事。右サイドで張っていたがボールが中央へ入ろうとするとすかさずバイタルエリアを中央へとフリーランニング。宮原の動きを警戒していた横浜FCの選手達も宮原をマークするように2人が中央へ。ここで右サイドのエリアにすっぽりとスペースができてしまった。まさにスペース作りの王道のような動きである。しかし…

このスペースへ走りこみを行う選手は誰一人としていなかった…いや、宮原がそういう動きをするという事を予想していなかったのか。しかしそれにしても2人が釣られて中に入った時点で勘のいい選手だったら気づきそうなものだが…。

筆者は右サイドバックに長谷川を置いている事はサイドバックの選手に怪我が多かったという原因もあるかもしれないが非常にもったいないように思える。本来だったらこういったスペースに飛び込んでいくセンスを持った選手が長谷川だからだ。しかしいまのポジション…右サイドバックであれば守備の事を頭にいれておかないといけないだけに彼が飛び込めるタイミングがあっても躊躇する事が多いのではないか。昨年に彼が得点を取った試合のようにポジショニングセンスはサガン鳥栖では屈指だと思われる。だからこそこのスペースに自由に入ることができない彼の動きが事が悔しくてしょうがない。

もうひとつ。理想を言うとこのスペースを作るべき選手は司令塔の選手ではなく、このスペースへパスを出す選手が司令塔的な選手であって欲しい。スペースを作る選手とそこに飛び込んでいく選手がいるからこそ司令塔というのが生きるのであるが、となるとユンジョンファンと宮原の併用には無理があるのではないか?例えばランニングが得意な中盤であったらこのスペースに飛び込んで行くことができなかったか?宮原でなかったらこのようなスペースを作る回数が多くならないか?

ボールポゼションが段々とあがっていることは確かだが上位チームに対してそれが得点につながっていかない。せっかく中盤をそろえているのに早い攻撃での得点が見られるのは結局はロングボールでの攻撃というのがこの中盤構成の意味合いについてついつい考えてしまうところとなっている。

このシーンだけではない、以下のようなシーンも見られた。

同じように中盤でボールを持っている状態で中央で張っていた鈴木が右サイドへとランニングを始めた。そこでバイタルエリアにスペースができたわけだが…その他の選手はまったく微動だにせず。

結局個人個人は頑張ってなんとか打開しようと動き出しをはじめるのだが、それに連動して他の選手たちの動きがないのでチームとしてチャンスが訪れない。チャンスを作ることができないのでそれぞれが打開しようとする選手達の動きは鈍くなる。よってチーム全体の運動量が少しずつなくなっていく。

とどのつまりは 現在の鳥栖の得点原というのは他のチームも研究しているようにユンジョンファンから新居ヘの長いボールのホットラインしかないのだ。それが実力が劣るMFやDFがいる下位相手であれば2人の力が相手に勝り、いとも簡単にと思えるくらい得点を取ることができる。しかし上位にいるチーム相手ではそういうわけにはいかない。その決定的な1本を通さない集中力と判断力。それらがあるからこそ上位という地位を得ているわけであってその上位相手である横浜FC相手にこのような敗戦劇を演じているのであれば今年は永久に昇格圏内に行くことはないであろう。

逆にユンジョンファンと新居のホットラインを"おとり"に使うことができる攻撃ができれば得点力は激増するだろう。長いボールがでると思わせてサイドへ展開、長いボールがでると思わせてドリブル突破。そういった攻撃ができれば集中力を分散できるので新居が裏へ抜け出る長いボールも生きてくるはずだ。

ストレートだけのピッチャーだったら打たれる。フォークボールだけのピッチャーだったら打たれる。しかし、ストレートが来るかフォークが来るか分からないようなピッチャーだったら大記録を打ち立てるくらいの活躍を見せる。相手に一本調子と思われる攻撃ではいけない。個人の力に頼るような攻撃でもいけない。チーム全体の連動した動きで得点をとりきる試合。逆にこういった展開が現れないとJ1への昇格はかなり険しい道のはずだ。

◆ 最後にパワープレイという選択肢はなかったか?

非常に残念なことに滝澤の突破によって後半も36分になって先制点をあげられてしまった。この件についてはやむをえない。ゴール前左サイドでの綺麗なワンツーとニアを狙った冷静な流し込みを褒めるしかない。

ここでサガン鳥栖の布陣はツートップに山城と新居。1点リードされて更にスペースがなくなる状態で彼らが生きる場所というのは限りなく少なくなってくるはずだ。しかし、この2人のツートップに対して長いボールを蹴るのみ。。。筆者が感じた単純な疑問。なぜここでユジンをゴール前にあげなかったのか?パワープレイをするしかないこの時間帯で、上記のツートップでは勝てる可能性は限りなく薄い。それならば、後ろは加藤とサイドバックにまかせて…いや、むしろ加藤を上げて山城を下げるくらいの大胆なポジションチェンジでパワープレイに移った方がよかったのではないか。ボールをとられてもユジンを常に前線においておけばどの位置からでも長いボールを蹴ることができるのではないか?横浜FCに追加点を取られる事を恐れるよりも無理してでも同点に追いつこうとする動きを見せて欲しかった。このようにゲームプランに対して激しく疑問を覚えてしまった終了間際であった。

次節はここのところ好調な札幌戦。フッキが出場停止とはいえ、前節に柏を下して非常に勢いに乗っている。選手達はここで敗れるようでは上位争いの脱落の一歩になってしまうという危機を感じながら是非とも全力で頑張っていただきたい。